発酵二十日大根の再発見

マザーアースニューズ ピクルス 大根 レシピ

ピリッとしたこの早生の根菜で発酵食をレベルアップしよう。

文:リー・ライク (Lee Reich)

翻訳:藤井 さわ

 

二十日大根を漬けることがすばらしい理由が5つあります。

 ① 最初に収穫することができ、最初に漬けることができます。滅多に二十日大根を食べないのに、成長の早い二十日大根を見ることを楽しむために栽培をしている方がいます。生き生きとした丸い「チェリーベル (Cherry Belle)」二十日大根と、より長い楕円形の「フレンチブレックファースト (French Breakfast)」二十日大根は、菜園シーズンの到来を告げてくれます。二十日大根は最初の漬け物作りにうってつけです。漬け物作りをしたことがなくても、野菜を発酵させたものが身体にいいということは聞いたことがあるのではないでしょうか。漬け物作りが初めてでも、簡単に二十日大根を漬けたり発酵させたりすることができるのです。

 ② 二十日大根はすばらしく健康にいいものです。東洋医学では、二十日大根は春の強壮剤であり、肝臓や胆のうに効くと言います。また、二十日大根好きは、二十日大根は呼吸を楽にしてくれ、風邪の症状を取り除いてくれるとも言います。二十日大根はビタミンCが豊富です(発酵させるとさらに豊富になります)。また、身体にいい微生物が豊富な発酵食品と同じように、二十日大根も消化器系を落ち着かせます。

 ③ 二十日大根を発酵させる方法にはいろいろあります。二十日大根には強い風味があると思いますが、発酵させることで別の味を作り出す下地になります。キムチ好きであれば、二十日大根を使ったキムチのレシピが多いことはご存知でしょう。では、二十日大根を発酵させ、薄切りにすると二十日大根のサラダになるのはご存知でしたか?(「二十日大根とフェンネルのピクルス」をご参照)二十日大根そのままがいい場合、塩水に漬けて発酵させることでシンプルなピクルスができます。さっぱりとした一口大の球をそのままパクっと食べることができます。。。

 

 

 

 

カーステン・K.・ショッキー (Kirsten K. Shockey) は、「Miso, Tempeh, Natto & Other Tasty Ferments」の共著者。カーステンが夫と発酵食を 20 年前に始めたのは、40 エーカーの小規模農地で、オーガニック食品会社に成長。詳しくは FermentWorks をご参照。カーステンは、マザーアースニューズ の新しい姉妹誌「Fermentation」の編集委員会に所属している。

 

。。。(全文はバックナンバーを購入してお楽しみください

 

Radish Fennel Ferment

Written and photographed by Kirsten Shockey |  June/July 2019


マザーアースニューズ ピクルス レシピ

春大根のカクテキ

翻訳:松並敦子

このレシピのベースは、よく知られた伝統的なキムチであるカクテキです。カクテキは大根に似た韓国大根[普通の大根よりも短くて丸く、首の部分は緑色で、苦みが若干強めで、果肉はきれいな緑色]で作るのが一般的ですが、私は様々な種類の大根を使って、このタイプの発酵食品を楽しんでいます。大きな大根は四つ割り(ほぼ立方体のような外観)に、丸い大根は半月型にスライスして使います。

 韓国風唐辛子パウダーと酢漬けの小エビはアジア食料品店で手に入ります。添加物なし、あるいは添加物が少ないパウダーを選びましょう。私が使っているブランドのパウダーには塩が入っているので、味見をしながら、塩の量を調整します。韓国風唐辛子パウダーが手に入らなければ、フレーク状の唐辛子でも構いませんが、フレークはパウダーより辛みが強いので、量を少なめにします。出来上がり量:950ml

 

  • 丸い大根・・・450g(皮を剥き、さいの目に切る。小ぶりのものは等分に、大きめのものは厚めにスライスする)
  • 未精製の細粒塩・・・小さじ1
  • 韓国風唐辛子パウダー・・・80ml(あるいはフレーク状唐辛子・・・大さじ1をお好みで)
  • 春タマネギ・・・個(1cm 強の幅で輪切りにする。緑の部分も使う)
  • ニンニク・・・3片(みじん切り)
  • 砂糖(できれば未精製のもの)・・・小さじ1/2
  • 酢漬けの小エビ・・・小さじ2(お好みで)

 

 作り方:大きなボウルの中で、大根、塩、唐辛子パウダーを合わせる。調味料で大根をコーティングするように混ぜる。大根から水が出始めるように、軽く揉みこむ。室温で30 分ほど休ませる。

 大根の入ったボウルの中に他の材料を全て入れる。酢漬けの小エビを入れる場合は、エビをみじん切りにしておく。エビを小さじ杯計量する時は、エビから出た水分も少し加えておく。全体を揉むように混ぜ合わせる。味見をして、必要なら塩を加える。(チップスの味見をするのと同じ要領で)塩気を確認するが、塩辛くなりすぎないように気をつける。この時点で、水が出てきている。

 用意した発酵容器にキムチを入れる時は、その容器の使用説明書の指示に従う。あるいは、950ml 程度のメーソンジャー[広口密閉式ガラス瓶]の中に、キムチの中の空気を押し出しながら入れてもよい。瓶の側面を清潔な布で拭く。小さな重石があれば、キムチが塩水の中に浸かっていることを確認して、発酵キムチの上に重石を置く。瓶の蓋をしっかり閉める。

 瓶または発酵容器を台所の隅で保管して、発酵を促進させる。キムチの中に空洞ができていないか観察する。空洞が見つかったら、蓋を開けて、キムチを押す。蓋が膨らみ始めたら、少し蓋を開けて、「プシュッ」と発酵で発生したガスを外に逃がす。

 キムチは1014 日間発酵させる。容器中のキムチ上部にできた空間が少なければ少ないほど、長く保存できるので、キムチは瓶の淵いっぱいまで詰める。食べる時は、小さな瓶に移し替える。冷蔵庫でカ月保存可能。

 アレンジ例:昔からよくクレソンを加えます。このキムチには生の大根のみじん切りのトッピングがよく合います。お好みで、みじん切りした青菜を60ml ほど加えるのも良いでしょう。

 

 


マザーアースニューズ ピクルス レシピ

ローズマリーとグレープフルーツと大根のスパイラルサラダ

翻訳:松並敦子

らせん状に切った大根のおかげで、この発酵サラダは生き生きした特別な一品に仕上がりますが、スパイラライザー[らせん状にカットできる調理器具]がなくても、このレシピの驚くほどの美味しさを作り出すことができます。マンドリンカッター[野菜用スライサー]やナイフを使って、大根を薄くスライスしたり、千切りにしましょう。

 このサラダは冬と早春の食材を簡単に組み合わせたものですが、きっと皆さんの味覚に訴えかけてくれると思います。大根は新鮮でシャキシャキしていて、適度な酸味がありますが、発酵すると少し塩味が出てきます。ローズマリーは大根ともグレープフルーツとも相性がよく、舌が喜んでくれるはずです。また、グレープフルーツの苦みがとても効いています。グレープフルーツの苦みはナリンギンという化学物質によるものです。全てのグレープフルーツにナリンギンは含まれていますが、昔からある新鮮なホワイトグレープフルーツにより多く含まれています。近年では、苦みより甘みを好む人が多くなったため、こうしたタイプのグレープフルーツが手に入りにくくなってきたようです。このレシピでは、手に入れやすいピンクグレープフルーツを使っています。ホワイトより苦みは少ないのですが、色がきれいです。ピンク色は、サラダに抗酸化物質のリコピンを加えてくれます。このレシピで残ったグレープフルーツは食べてしまいましょう。体にとても良いですよ。いずれにしても、この料理は発酵に数日かかりますから、すぐには食べられません。 出来上がり量:950ml

 

材料

大根(白でも緑でも紫でも、ミックスでも良い)・・・450g(皮をむいて、らせん状に切る)

みじん切りの生のローズマリー・・・大さじ1

グレープフルーツ(ピンク、レッド、ホワイトどれでも大丈夫)・・・1-1⁄2

塩・・・小さじ1

 

作り方:大きなボウルの中で、大根とローズマリーを混ぜ合わせる。

 グレープフルーツの下準備として、房の両端を切り、薄皮を剥き、それから、房をつの楔型にカットする。房の端を丁寧にカットして、残っている薄皮を取り除くと、グレープフルーツの端がむき出しになってくる。この作業は、(果汁がサラダの中に入るように)大根の入ったボウルの上で行う。薄皮を取り除き、三角形になった果実をボウルの中に落としていく。

 塩を混ぜ入れる。直ぐに水があふれ出てくる。

 サラダの中の空気を押し出しながら、用意した発酵容器、あるいはクォートサイズ(950ml 程度)のメーソンジャーに詰める。容器の側面を清潔な布で拭く。サラダミックスが塩水に浸かっていることを確認して、小さな重石があれば、上に置く。あるいは、スパイラライザーでカットしなかった残りの大根を利用してもよい。その場合、サラダミックスの上に大根を十字に置き、瓶の肩に押し込む。蓋はしっかり閉める。

 瓶、または発酵容器を台所の隅で保管し、発酵を促進させる。蓋が膨らみ始めたら、少し蓋を緩めて、発酵で発生したガスを「プシュッ」と逃してやってから、直ぐにしっかりと蓋を締めなおす。大根とグレープフルーツのミックスの中に空洞ができていないか観察する。空洞が見つかったら、蓋を開けて、ガスを逃がす。

 定期的に発酵で発生したガスを外に出しながら、5日間、台所で発酵させる。保管している間、容器中の発酵サラダ上部にできた空間が少なければ少ないほど、長く保存できるので、発酵サラダは瓶の淵いっぱいまで詰める。食べる時は、小さな瓶に移し替える。冷蔵庫で、カ月保存可能。

 素朴でスパイシーなバリエーションとして、ローズマリーの代りに、新鮮なおろし生姜を大さじ加えてもよい。

 


マザーアースニューズ ピクルス レシピ

二十日大根とフェンネルのピクルス

翻訳:藤井さわ

春の訪れを祝う漬け物をつくりたいという気持ちからこのレシピができました。爽やかでパリパリした風味のものが欲しかったので、春の薄ピンクや白いつぼみが引き立つように、味、色ともに軽い漬け物にしてみました。

 赤い二十日大根は気温の低いところで早く成長し(温暖な気候のところで最も早く採れる野菜の一つ)、冬の身体から抜け出すために食べるといいものです。伝統的な中医学では、二十日大根は肝臓や胆のうのすばらしい強壮剤です。二十日大根は脂肪や痰を分解し、胆汁の流れを正常にし、二十日大根を食べることで、体液が流れるようになると言われています。

 この漬け物は簡素です。水分の多い、辛みのある二十日大根が引き立つように軽くて香りのよい新鮮なフェンネルを使いました。栄養的には、フェンネルは消化に大変よいのです。それに、ビタミンD剤を経口している人にとって大事なビタミンK2も豊富です。

 この漬け物はとても簡単に作ることができ、3日ほどでいただくことができます。グリーンサラダにのせたり、固ゆでたまごといったたんぱく質の豊富な料理に添えたりすると美味しいです。出来あがり量は、0.5 リットル。

 

  • 「チェリーベル(Cherry Belle)」や「フレンチ・ブレックファースト(French Breakfast)」など小さな二十日大根・・・束(茎は取り除く)
  • 新鮮なフェンネル球(中玉)・・・1
  • 塩小さじ・・・11/2

 

 作り方:おろし金かフードプロセッサーで二十日大根を極薄切りにし、大きなボウルに入れておきます。フェンネル球は太い根を切り落とし、球をできるだけ薄く切って二十日大根の入ったボウルに入れます。フェンネルの葉の部分は刻み、同様にボウルに入れます。太いフェンネルの茎は、他の料理にお使いください。

 二十日大根とフェンネルの入った大きなボウルに塩を少しずつ加えながら、もみ込みます。塩を半量入れたところで味見しましょう。ほんのり塩気が感じられる程度まで塩を加えますが、塩気で風味が損なわれないようにします。

 この料理は、時間や手間をそれほどかけなくても水分がたっぷり出てきます。お気に入りの漬け物入れ、あるいはクォート瓶に入れましょう。もし漬け物石をお持ちであれば、重石ですべての野菜が塩水に浸かっている状態にしましょう。涼しく、キッチンカウンターの邪魔にならないところで、食べ頃になるまで3日置けば出来上がります。