早期採用者が、小さく暮らしながらも上手に生活する知恵を教えてくれる。
文:パット・フォアマン(Pat Foreman)
翻訳:沓名 輝政
現在、タイニーハウスのムーブメントは人口動態に牽引されています。1960 年当時のアメリカの夢の家といえば、3 ベッドルーム、2 バスルーム、2 台の車庫を備えた、子供のいる夫婦が住む家でした。それから半世紀以上経った今、アメリカの単身世帯数は約 3,500 万人で、2030 年には 4,100 万人に増加すると予想されています。では要点は何か。偉大なアメリカンドリームハウスは急速に時代遅れになりつつあることです。
1950 年代のベビーブーム世代が定年退職を迎え、より多くの専門職に就く単身者が市場に出回る中、質の高い小規模な注文住宅の需要が高まっています。人々は「どれくらいが必要十分なのか」自問自答しています。
私も同じような疑問を抱いたことがあり、それ以来、小さな家での生活を楽しんでいます。住宅における「小さい」ということは、美しく、機能的で、経済的で、エコロジーにもなるということを知りました。
小さな家とはどれほど小さいのか。
典型的なアメリカの家
約 1,200~2,000 平方フィート(111~186 平米)
タイニーからスモールハウス
500~1,000 平方フィート(47~93 平米)
極小の家
224~500 平方フィート(21~47 平米)
むかーし昔
私が小さな家を意識し始めたのは 1970 年代後半、インディアナ大学の公共・環境大学院に入学した最初の大学院生の一人だった頃です。読書の課題の一つに『成長への限界』という本がありましたが、この本は、指数関数的な人口増加と限られた資源がもたらす結果についての私見に深い影響を与えました。私は、供給過多がもたらす環境への影響や、人口が地球環境の持つ収容力を超過した場合の有害な影響について、より完全に理解できました。
また、私はバックミンスター・フラー(Buckminster Fuller)の講演会に出席する機会を得て、彼の仕事を追うようになりました。フラーの著書の一つである『宇宙船地球号操作マニュアル』には、今でも心に響く名言があります。「宇宙船地球号を一つの宇宙船全体だと考え、私たちの運命を共通だと考えない限り、上手に、また長く、操作できないだろう。誰か特定の人でなく、全員でなければならない」
その後 20 年間、私はコンサルタントやプロジェクト評価者として、主に発展途上国を旅しました。私は、住宅が人間の文化に及ぼす影響だけでなく、人間の身体的、精神的健康に及ぼす影響を目の当たりにしました。適切で安全な住宅は、繁栄する社会と機能的な文化の基礎であり、その社会と文化を実現させるものです。人口が飛躍的に増加する中で、私たちはどのようにして質の高いライフスタイルを維持していくことができるのでしょうか。
私は、その解決策の一つとして、タイニー・スモールハウスがあると考えるようになり、自分のライフスタイルをスケールダウンしていくことを決意しました。私の新たな人生観に合わせていくのです。
意図して縮小
現在、私は 2 匹の猫と 45 ポンド(20 キロ)の犬と一緒に、約 750 平方フィート(70 平米)の小さなスペースに住んでいます。しかし、小さなスペースの生活への移行を行うことは簡単ではありませんでした。私の最大の課題(いまだ小スペース生活の中で最も困難な進行中の学び)は、自分自身の延長線上にあると認識している私の「モノ」に対処すること。これには、物体だけでなく、信念、思考の枠組み、習慣、食事のパターン、まとまり、個々のもの、そして私の個人的な歴史が含まれています。
自分の人生の様々な局面、趣味、ビジネスで蓄積してきたものを調べているうちに、自分が使っていないもの、欲しくもないものがいかにあるのか分かりました。自分の好みや好き嫌いは、何十年も前から変わっていることに気がつきました。もし私の好みが、長年にわたってこれほどにも広く変わっていなかったら、気付いて愕然としたのですが、人生にわたり何十万ドルものお金を節約できた可能性があります。
一旦自分の個人的な「整理整頓思考(stuffology)」の驚異的な広がりを認識したら、私は体系的に私の人生と生活空間から物事を排除するようになりました。
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