流れにまかせて

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重力を巧みに利用して上り傾斜に水を送る雨水タンクを作ろう。

文と写真:フランク・ハイマン(Frank Hyman)

翻訳:沓名 輝政

 

 私は「上がったものは必ず下へさがる」という格言や、その他の物理学の初歩的な原理をよく参考にして、小さな自営農園での生活を楽にしています。重力は常に作用しているので、それに対抗するのは無意味です。私はできる限り重力の流れに従うようにしています。

 ガーデニングや農業をする際、最も重いものの一つが水です。1 ガロン(約 3.8 リットル)あたり約 8 ポンド(約 3.6kg)の重さが加わります。そこで私は、夏に雨が降ったときには雨水タンクに水を貯めておき、日照りが続くときには野菜の植え床に通すように水を排出して、水をあちこちに運ぶ必要がないようにしています。しかし、雨水タンクの排出口よりも菜園の植え床の方が少し高い場合はどうすれば良いのでしょうか。もちろん、重力を利用して雨水を上に送るのです!

 

日々の物理法則

 大自然を欺くことはできませんが、水の入ったホースにいたずらをすることはできます。雨水タンクの水を上り傾斜に流すためには、ホースの中の水に傾斜を下っていると「思わせて」、実際に上り傾斜を走らせればよいのです。でも、どうやってそんなことをするのでしょうか?

 私は、埋立地での不名誉な死を免れた無料のパレットの山から始めることにしました。埋立地では、木材が気候変動を増幅させるガスに変わってしまいます。丈夫な無料のパレットを土台にして、雨水タンクを 1m 弱高くすることで、あなたも水を騙して傾斜を上らせ、菜園の植え床の灌水ホースに供給することができます。その方法をご紹介しましょう。 

 

道具 資材

  • より紐
  • ラインレベル(水準器)
  • 4 フィートの水準器
  • パレット
  • 6 x 6 の防腐処理済みの木材ブロックコンクリートブロック、またはレンガ
  • 亀甲金網
  • ゴム製の池のライナー、金属製の屋根材、またはロール状の屋根材(rolled roofing)
  • IBC タンク
  • プラスチック用の外壁塗料
  • 真鍮製の蛇口
  • 真鍮製の蛇口のネジ山の内径に合ったスペードビット
  • 外装用コーキング剤 
  • 水密性の高い接続部を持つ分岐継手 

 

適切な雨水タンクを選ぶ

 夏野菜の植え床は、1 週間に 1 平方フィートあたり約 1 ガロン(1 平米あたり 42L)の水を必要とします。例えば、4×12 フィートの植え床は 48 平方フィート(4.5 平米)に相当し、乾燥した状態であれば 1 週間に約 48 ガロン(180L)の水が必要になります。つまり、50 ガロン(190L)のタンクで 1 つの植え床に水を与えられるのは 1 週間で、次の雨で水が補充されるまでということになります。タンクを並べて設置することもできますが、そうすると接続部分のコストと設置にかかる時間が増えてしまいます。

 私がお勧めするのは、毒性のない液体を入れていた国際間で利用されている物流容器(IBC コンテナ)です。私はこれを「スーパー雨水タンク(super rain barrels)」と呼んでいます。クレイグスリストでは、IBC を 1 個 75 ドルから 150 ドルで販売しています。その価値は十分にあります。ドルでの価格よりも多くのガロンが入るのであれば、良い買い物をしたと言えるでしょう。IBC の容量は約 300 ガロン(1,100L)で、タンク 6 本分に相当しますが、設置面積が小さく、接続金具の数も少なくて済みます。IBC は、食品用プラスチックで出来ていて、ほぼ立方体、120 × 120 × 100cm で、パレットにねじ止めされたアルミ製のケージで補強されています。上部には幅 20cm のねじ込み式の蓋があり、下部には幅 5cm のプラスチック製の蛇口が付いています。私が購入したものは、もともと入っていたアーモンドオイルの香りがかすかに残っていました。プラスチックは半透明なので、中に藻が生えないように、プラスチック用のこげ茶色の塗料を 2~3 層重ね塗りをしておきます。 

 

真水の基本情報

1L の水 = 1kg

1 立米 = 1,000L の水 = 1,000kg

300 ガロン(1,100L)の容器 x 1kg/L = 1,100kg

夏の菜園では、1 週間に 1 平方フィートあたり約 1 ガロン(1 平米あたり約 42L)の水が必要 

 

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