かつて郊外に住んでいたこの夫婦は田舎に移り住み、心 優しい農家や気持ちを同じくする家族とつながって順調 に農場をスタートした。
文:マンディ・カーンズ(Mandy Kerns)
翻訳:浅野 綾子
たとえ 5 年前であっても、こう言われたら私は信じなかったでしょう。夫のブレットと私は田舎に住み、雌鶏と豚 を飼い、2000 平方フィート(186 平米)の菜園を手入れし、外に小屋などを建て、ミミズにわくわくし、自営農場の 女性グループを主宰し、自分たちの食べ物をビン詰めし、自営農場協議会に出席し、農業について執筆し、ビンテー ジからインスピレーションを得たエプロンをデザインして縫い、加工品をつかわずに菜園でとれた収穫物からすべてを 手料理し、キッチンの奥深くであらゆる種類の発酵食品やチンキを熟成させていると。実際、こんな日が来ること を、私を知っている人は誰一人として予想しませんでした。私は、このような生活を部分的にでも喜んでするような人 間ではまったくありませんでした。ニューヨーク州郊外で私は育ちました。大渋滞の中をミニバンで移動する、郊外 住まいのサッカーママだったのはそれほど前のことではありません。キッチンのテーブルの上には枯れたサボテンが 置かれ、爪の中に泥が入る生活からは程遠い日常でした。
けれども郊外に住んで 16 年、私たち家族は心に深い傷を負う出来事を経験して、すべてを新たにはじめる時がやっ てきました。ゆるやかな山並み、田舎の新鮮な空気が私たち家族の心によびかけました。私たちが足を踏み入れたの は、ブルーリッジ山脈のふもとに抱かれたジョージア州ダロネガ。家を改修し、かつて放棄された土地を世界に 1 つ しかない自営農場につくりかえる間、700 平方フィート(65 平米)の小さな家に家族 5 人で身を寄せ合いました。 もっとも心に残る出来事のひとつは、クレイグリストに掲載されていた、築 100 年の納屋の売り広告を見て連絡し たこと。現地で何が起こるかも知らずに連絡しました。驚いたことに、車を運転して到着した先でにこやかに迎えて くれた夫婦は、この納屋ですごした思い出を聞かせてくれた上、この納屋を解体して引き取ってもらって構わないと いうのです。この夫婦が納屋を手放さなければならないことに心が痛みましたが、この納屋の歴史を私たち家族が引 き継ぐ機会が突如目の前にあらわれたのです。さらにこの夫婦は、私たちの自営農場でリメイクしてつかえるお宝のよ うなものがあるかどうか、敷地全体を探してくれて構わないと言います。夢の実現です。ビン詰め用の広口瓶、鋳鉄シ ンク、使い古しのドアや窓、ニワトリの餌箱、年代物の農具、鍛冶机、門、金属バケツ、たらい、球根乾燥用の網だ な、プランター、手押し車、かわいらしい古い犬小屋などを集めることができました。この納屋に足を踏み入れるた びに、かつてそこにあったものを見て回り引き取れること、この納屋の歴史を絶やさずに引き継げることを、心から ありがたいと感じました。。。
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