サワードウは誰からも愛されているみたい - このステンシルデザインで、イーストパンに脚光を浴びさせよう。
ステンシルパンが添えられたどんな料理も素晴らしく食卓の中心を彩る。Photo by Queren King-Orozco
文:ウィリアム・ルーベル (William Rubel)
翻訳:沓名 輝政
イースト (yeast)! 英国人はかつてこれを「神の良き物 (godes good)」と呼んでいました。それを神の優しさの現れだと信じていたのです。 イーストが崇められるというその地位を得た理由はこうです。何千年もの間、果物や穀物を発酵させてワイン、ビール、そして日本酒を作る目に見えない働き者であり、そのままでは不活性な小麦粉と水の生地に素早く命をもたらしたためです。
イーストは砂糖で繁殖し、アルコールと二酸化炭素を廃棄物として生産します。 それがどう幸運なのか。 農家は、植物栽培や農業の歴史の実に早い段階で、イーストの有用性を認識しました。 サッカロマイセス・セレビシエは、糖を好む天然酵母の中でも最も頑強なもののひとつで、自然から家庭に移り、発酵活動の中心となりました。 猫と同様に、イーストは半ば飼いならされた生き物です。 この意味するところは、私たちの家の周り、私たちの体内や体表面のイーストが、野生の祖先から幾分変化しているものの、未だ非常に似ているということ。 「イースト (yeast)」は、泡沫や泡を意味する中英語「yest」から来ています。小さじ 1杯のイーストと同量の砂糖を1/4カップの温水に加えて数分間放置すれば、泡立ち始めるでしょう。 人々は19世紀後半までイーストが何であるかを正確に科学的に理解していませんでしたが、その為すこと、その集め方と使用方法は知っていました。
イーストはとても使いやすく、管理も簡単なため、良い物です。 多くのパン屋さんがパン種でパンを作っているように、イーストパンに創造性や想像力を添えるのならば、パンを甘くて新鮮な香りで柔らかくしたり、パン種のパンのしっかりとした風味を与えたりする熟達者になれます。 イーストの量、生地の温度、生地が熟す時間と環境を変えることでできるのです。 水の量を調整することで、きめ細かな食感のサンドイッチパンから大穴の空いたイタリアのチャバタに変えることができます。 素敵に開いたクラムとパリパリのクラストとなる多くのフレンチスタイルのパンの小麦粉対水分比のレシピを提供したいと思います。 数回作った後は、あり合わせで料理し始めましょう。
テーブルへアートを持ち込む
このレシピはお試しに適しており、滑らかなクラストを備える多用途な1斤となります。 クラストを飾ることによってパンに個性を出すという考えを紹介したいと思います。 世界中の革新的なパン屋は、パンの表面を個人的な表現のキャンバスと考えています。 あなたにも驚くようなことが出来ます。ステンシルを用いたり(小麦粉は白色、ココアは暗い色のデザインにまぶす)、パン生地に切れ目を入れたり(パン生地に直接か、パンの上にまぶした小麦粉の層を介して)、またはステンシルと切れ目を組み合わせたりするのです。 パン型、ベーキングストーン、ベーキングシートのいずれで焼くにせよ、クラストに注意を払う数分は、日常の領域から、料理と芸術が一緒に現われる空間にあなたのパンを連れて行くことでしょう。
子供がいたり、家族や友人が周りにいる休暇中にパンを焼いたりするなら、パンを飾りつけること自体が人をひきつける社交的な営みになり得ます。 ステンシルを作ることは、あらゆる年代の人々を寄せ付ける方法であり、発酵膨張したパンの表面にカミソリで模様を刻むと、本当にワクワクします。 あなたが数人の人と一緒にパンを飾っているなら、一度にいくつかのパンを作ってもいいし、ロールパンを飾ることもできます。
インスピレーションを得るには、この記事に付随する画像を見て、ステンシルテンプレートをダウンロードするか、私のPinterestのボードをチェックして切れ目の入ったパンやステンシルパンの画像を利用するか、ハウツービデオの画像をご利用ください(http://goo.gl/NWMmKN)。 オンライン小売業者から既製のパン用ステンシルを購入するか、地元の工芸店で塗装やキルティング用のステンシルを探して、パンを飾るために再活用できます。 あなた自身のステンシルを作ること自体楽しいプロジェクトだと思いますよ!
ツール、ヒント、テクニック
あなた自身のステンシルを作るには、鋭利なナイフ、丈夫な紙やプラスチック、パンを切る台が必要です。 古いファイルフォルダや厚紙からステンシルを切り取ることをお勧めします。 また、ステンシルを通してパンに小麦粉をまぶすための非常に細かいこし器が必要です。 パンに模様をつける唯一の本当のトリックは、小麦粉をステンシルにまぶした後、まっすぐ上に持ち上げてパンから離して、小麦粉をこぼさないようにすることです。 ステンシルにつまみを付け加えると、垂直に持ち上げるのに役立ちます。 プラスチック製のステンシルを購入した場合は、下面に小麦粉をまぶすと、生地のこびり付きがなくなります。
プロのパン屋は、ラーム (lame) と呼ばれる両刃のかみそりを使ってパンを削ります。
あなたは、ラームをオンラインで注文するか、両刃のかみそりの片端に慎重にテープを貼り、テープした端を指の間に挟んでカットすることができます(上記のスライドショーの写真を参照)。
深い切れ目を目立つように開けるには、成形し、発酵膨張したパンがオーブンに入る準備万端な状態でなければなりません。 深い切れ目を付けるときに、発酵させたパンは膨らんではいても、まだ2倍になってはいないようにします。 その瞬間を選び取るには練習が必要です。 私は寝かせる時間の半分ほどでぴったりつかんでいます。
イーストパンの基本レシピ
このレシピでは、ドライイーストが必要ですが、インスタントイーストを塩とともに直接小麦粉に加えることもできます。 私の好みは低塩分量のパンですが、より高塩分量が標準です。 この生地はサンドイッチパンよりも湿っていて、表面はベタッとします。 水の入ったボウルに浸すことで湿らせつつ清潔な手で生地をこねます。 作業台をきれいに保つためにスケッパーを使用してください。
このレシピは、多くのこねないパンのレシピと同様に、折り畳んでこねる技術を必要とします。 この技術にまだ精通していない場合は、ブールを折りたたんで形を整える方法を紹介している Northwest Sourdoughのプロのベーカリーのビデオを見てください(http://goo.gl/2vjPjP)。 分量: 570g のローフ。
- 3と1/2カップの無漂白の白小麦粉(425g)
- 小さじ1と1/3〜2杯の塩
- 1と1/2カップの温水
- 1〜1.5時間の発酵の場合、小さじ1と1/3杯のドライイースト
- 一晩または日中長く発酵させる場合、小さじ1杯のドライイースト
- 一晩発酵させる場合、小さじ3/4杯のドライイースト
注:これらの生地は室温で発酵し始めた後、まろやかなサワードウの質感と味覚になるように、1週間まで冷蔵することができます。 焼く必要量よりも常に多めに生地を作り、いくらかは冷蔵するよう習慣付けてみましょう。
- ボウルで小麦粉と塩を混ぜて脇に置く。
- 別のボウルで、イーストの袋の指示に従って、ぬるま湯でイーストを混ぜる。
- 小麦粉にくぼみを作り「スポンジ」(発酵前)を準備する。それから、イーストの混合物を加えて、滑らかになるまで混ぜる。
- 小麦粉をまぶして覆いをし、暖かい場所に置いておく。
- スポンジが明らかに活発になり膨らみ、まぶした粉にヒビが入ったら、手やミキサーでかるく塊にする。
- 台の上に取り出し、生地に伸縮性と弾性が出てくるまで数分間混ぜる。これは湿った生地なので、手を湿らせてスケッパーを使用するのをお忘れなく。
イーストの量を減らし、長く発酵膨張させる場合は、生地を完全に混ぜてこねるのを減らす。生地が膨らむにつれてグルテンが発達。
- ボウルに戻って、覆いをし、まとめて2倍に膨らませる。
- 膨らんだら、軽く打ち粉をしたボードにあけて、生地を静かに伸ばして数回折り畳む。生地をボウルに戻し、カバーし、10〜15分間隔で3〜4回繰り返す。
- 柔らかいクラストには 177℃ でオーブンを予熱し、カリカリのクラストなら 218℃ まで。
- 生地を静かに伸ばして折り畳んで、ボール、楕円形、またはリング状のローフを成形する。
- 成形したら、生地を羊皮紙の上に置いてカバーします。
- 生地が大きくなり始め、でも倍になる前、切れ目を入れるかステンシルを施し、羊皮紙の上に置いたままの生地を、加熱したオーブン内のベーキングストーンまたはベーキングシート上に直接滑り入れる。
- パンは約40〜50分で完成。小麦粉をまぶしたら、小麦粉がこげ色になる前に取り除く。
心の準備ができたら、実験を始めよう!この基本レシピの伝統的なバリエーションとして、古典的なパン・ド・カンパーニュを作るには、漂白の白小麦粉の代わりに2と1 / 2カップの白小麦粉と3/4カップのライ麦粉を使ってください。
ウィリアム・ルーベル (William Rubel) は11歳からパン焼きをしていて、即席の焼き料理を楽しんでいて、よくアウトドアオーブンを使って伝統的な料理を試している。彼はまた伝統的な食生活に心酔していて、2014年出版の炉端料理の「The Magic of Fire」に詳しい。彼のアウトドアオーブン料理の作り方説明は2017年6/7月号をご参照。
たのしい暮らしをつくる
マザーアースニューズ
By William Rubel | December 2017/January 2018
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