DIYロケットストーブ案から、キャンプ場、農的暮らし、裏庭用のクッキングストーブの作り方を学ぼう。
文:Josh Brewer
翻訳:田村 香
Muhammet Sel(ムハメット・セル)は、このロケットストーブの組立てに2、3時間かかったが、10分足らずで水を沸騰させる!
最初のロケットストーブは、カラマズー川沿いの産業ゴミ捨場から掘り出した3つのコンクリートブロック、コンクリート平板2枚、錆びた缶、そしてレンガから作った。それは無料で、手作りで、この上なく恰好悪かった。2番目のロケットストーブは同じ材料で作り、あまりきれいではなかった。しかし、お腹を空かせたゲリラ・ガーデナー【ゲリラ・ガーデニング:公共の土地などに許可なく花や野菜を植えて育てる行為。】仲間をもてなした時、どちらのストーブも簡単に火が着き、よく燃え、そして使った木は、ほんの少し!
私の経験は、驚くことではない。なぜならロケットストーブの設計者は、熱効率だけを目指したから ― これらのストーブで最高のものは、最小限の木の燃焼で、灰や煙を出さずに余りある熱をもたらす。
ロケットストーブは、複雑な工学技術、もしくは高価な成形加工よりも、むしろDIYの簡単さでその効率の良さを達成する。これもまた、意図によるもの。1980年代にイアント・エヴァンス (Ianto Evans) とラリー・ウィニアルスキー (Larry Winiarski) は、効率の悪い薪の使用がよく大規模な森林破壊と汚染の原因となっている発展途上国全域のクッキングストーブのために、初めてロケットストーブを設計した。
ロケットストーブの中心の「エルボ」設計は、効率の良さの基本となる。伝統的な暖炉と同様、ロケットストーブの煙突(よく「燃焼室」と呼ばれている)は、上昇気流を起こしつつ、エルボは、調理面を(火と炭から離れた)上方の煙突排気口へ移動させる。この配置は、従来のストーブでは、問題が起きるけれども、ロケットストーブが出す煙は最小だ。ロケットストーブは、酸素が多い通気を焚口の下からエルボの水平部分へ引き、高温となっている焚き木を超え(焚き木を通り越し)、燃焼室を上がって調理面まで通す。全てのロケットストーブの設計で、同じ基本的なエルボのパターンを使うけれども、クリエイティブな作り手たちが、断熱を改良した燃焼室や、より効率的な燃料の使用、そしてより高い燃焼温度で、性能と効率の限界を押し上げ続けている。あなた自身の農的生活、もしくは裏庭のテラスのために、ロケットストーブを造る方法を知りたかったのでは?基本的なDIY技術があれば、誰でも作ることができる5つのロケットストーブデザインはこちら。
ロケットキャンプストーブ
ジョン・フィッシャー (John Fischer) は、ドイツのシュツットガルト市郊外へ旅に出る時はいつも、携帯用のロケットストーブを荷物に詰め込む。分離できる焚き口、燃焼室、そして焼き網を設計することによって、まるで彼のテントと同じ要領で荷造りできるロケット・キャンプ・ストーブを生み出した。
材料:大きなスプレー缶; 焚き口用のくず鉄4つ; 挿入トレイ; 金属足2つ; ナット、ワッシャーとボルト2組; 先がとがったボルト; 短いケーブル。
- スプレー缶を完全に空にして、その長さと直径を計る。
- 四角い焚き口をくず鉄から作ろう。エルボの「曲がり」の片側に6~12mmの余裕を持たせ、焚き口の長さは、スプレー缶全長の大体4分の1くらい。
- スプレー缶のトップを切り取り、横に焚き口の寸法の穴をあける。
- 焚き口の挿入物(例えば切った空調の換気口カバー、もしくはグリルトレイ)を作り、焚き口の底にある通気口の通気を妨げないように穴をあける。
- わずかな勾配を持たせ、平坦でない地形に対応するように、焚き口の端に2本の支持脚を固定するためにナットとボルトを使う。
- 安定性を高めるために、タンクの底に先がとがった長いボルトを溶接する【スパイクになる】。
- 90度の角度で組み合わせるために2つのアングルに刻み目をつけて、焼き網を作る。
- 燃焼室の中に落ち着かせるため網の一番下の角を切る。
- ストーブ全体に耐熱塗料を塗る。
- さらに安定させるには、焚き口の先と、そこから最短距離の燃焼室の縁に切り込みを入れる。切り込み間を結ぶように短いケーブルの長さを計り、両端をかしめたケーブルを切り込みにかけて固定する。
「スペースシャトル」ロケットストーブ」
溶接機とくず鉄に少々加えて、ムハメット・セル (Mohammet Sel) はトルコでかっこいいロケットストーブを作った。 彼はその完成したプロジェクトを「スペースシャトル」と呼んでいる。その理由は色だけでなく、感動的な熱生産のため。 この薪のクッキングストーブの設計では、セルが土で満たした3cmの断熱スリーブが組み込まれてる。
材料:長さ150cm、10cm角(4 x 4インチ)のパイプ;70 x 10cm(29 x 4インチ)の16ゲージの板金。
- 10cm角のパイプを斜め45度で2等分する。これらのうち1つは焚き口として機能し、他の1つは燃焼室として機能する。
- パイプの長さに沿って曲がり角の短辺まで延びる焚き口用の平らな棚を切る。
- 気流のためにパイプの下からおよそ1/4を仕切る棚を供給パイプに溶接する。
- 90度になるように、燃焼室に焚き口を溶接する。
- 燃焼室より2 ~ 5cm大きい底板を付ける。
- 前板を焚き口を取り囲むように合わせて切り、付ける。
- 燃焼室を完全に囲む背板と2つの横板を切り、付ける。
- 燃焼室と板の間の断熱部分を、土もしくは砂で満たす。
- 断熱部分を封じる天板を切るが、燃焼室を塞がないようにする。
- アングルグラインダーで全ての溶接面をなめらかにする。
- 平らな天板に、3 ~ 4つの固い棒で、ごとくを取り付ける。これらの棒で、料理面の下からの十分な上昇気流を維持できる。
- 耐熱塗料の塗装をする。
もっと詳しい情報と写真はwww.Instructables.com/id/Space-Shuttle-Rocket-Stoveをご参照。
コンクリートブロック・ロケットストーブ
コリーン・コードカス (Colleen Codekas) のコンクリートブロックをそのまま使ったストーブは、どんな裏庭、釣り場、キャンプ場でも落ち着くようなしっかりとした土台がある。この実用的なデザインで調理するには、垂直に置いたブロックの上の内側(穴)に木材を押し込んで、横に置いたブロックの内側の手前で調理する。
材料:コンクリート平板4つ;コンクリートブロック2つ;レンガ; 焼き網
- ストーブの基礎を作るために、2つのコンクリート平板をT字に配置する。
- 平板の上に、コンクリートブロックを1つ横に置き、もう一方は垂直に立たせる。水平のコンクリートブロック中央部上にレンガを立てる。継ぎ目を直角にする。
- 底部のコンクリートブロックの側壁の上の位置に平板2つを立てる。上から見て、「H」に(左の写真)ならなければならない。
- 最後のコンクリートブロックで(右の写真)で「H」の上を覆う。
- 焼き網を上に置く。
詳細は www.Attainable-Sustainable.net/Rocket-Stove をご参照。
1時間英国レンガストーブ
ラビ・デオ (Ravi Deo) は、ロンドン郊外の彼の裏庭で、この丈夫なロケットストーブの製作におよそ1時間を費やしたが、それは完全な水平を出したかったから。
あなたが特にそうでなければ、30分でグリルできるだろう。この永久的な設置は、裏庭の野外料理にきっとピッタリ。
材料:コンクリート平板;レンガ;メタルラス;グリルかオーブンの焼き網
- 上部が地面の高さになるようにコンクリート平板(一辺43cmまたはそれ以上)を設置する。
- 平板の上にレンガをコの字型に配置し、上にメタルラスを置く。
- 2段目のコの字を積んで、各段の間にラスの端を挟む。
- 2段目のコの字の上に煙突の基礎となるコの字型のレンガを1段加える。
- 煙突を作る高さまで、継ぎ目を互い違いにさせながら、段を重ね続ける。
- 一番上に古いグリルやオーブンの焼き網を置く。
詳細は www.Instructables.com/id/Brick-Wide-Rocket-Stove をご参照。
農的生活「ポップコーン」ストーブ
フレッド・エルドマン (Fred Erdmann) のロケットストーブはまさに「目に付いた材料」だ。 組立ては、砂、砂利、または土を詰めた時に、完全燃焼するために十分な断熱を提供するポップコーン缶から始まる。エルドマンのロケットストーブは、ワシントン州の海岸の農家で、寒く雨降る夜に野菜や魚介類をゆでるのに十分な熱を作り出す。
材料:蓋が付いた金属で大きなポップコーン缶; 直径15cmの金属のエルボ型排気ダクト; 直径15cmのストーブ用煙突;金属ネジまたは耐熱金属エポキシ接着剤; 焼き網; 脚3~4本
- ポップコーン缶に15cmの穴を2つあける(1つはエルボ側、1つはストーブ煙突用に上部)。
- 金属ネジか耐熱金属エポキシ接着剤で、ストーブ煙突にエルボを付ける。
- 缶に断熱材(砂か土)を充填する。
- 金属ネジか耐熱金属エポキシ接着剤を使った缶のふたを閉める。
- ふたの穴全体に置く焼き網を作る。
- 金属片を切って、上蓋を囲んで風除けを作る。(任意)
このユニークで安価な調理器を作る方法は、以下の手順をフォローしよう。www.Instructables.com/id/Brick-Wide-Rocket-Stove
たのしい暮らしをつくる
マザーアースニューズ
By Josh Brewer
October/November 2016
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