自立の目標への高い圧力を和らげるために、ご家庭でビーフ、チキン、その他諸々を安全にビン詰めする方法を学ぼう。
文:Andrea Chesman
翻訳: ドレイパー愛
自家製の圧力ビン詰めを作ろうとしているなら、チキンサラダには生でビン詰めされたチキンとの相性がいいということを覚えておくとよい。
自分で育てた動物の肉を使うにしろ、野生の動物を狩ったにしろ、店で安売りしていた肉を買うにしろ、自家製肉ビン詰め保存方法を習得する理由はお金の節約に始まり、時間の短縮にまで及ぶ。圧力ビン詰めで肉を保存する方法はきちんと行えば安心安全で、経済的そして何よりおいしく出来上がる。
もちろん、ビン詰め作りには時間がかかるが、その日の夕食にも使えるように計画すれば思いのほか時間はかからない。そして、数週間後、数ヶ月後に、腹ぺこの家族のために(例えばチリの)自家製ビン詰めの蓋を開けている自分を想像してみてほしい。数分で食事の支度ができるなんて悪くない。
冷蔵庫なしで肉を保存する方法
おすすめは、野菜を入れたり味付け(いくつかの例外を除く)をしたりせずシンプルに肉をビン詰めする方法だ。
ズッキーニやインゲンなどほとんどの野菜は肉を安全に加工する間に煮すぎてしまう。アブラナ科の野菜(キャベツ、カブ、ルタバガ、ブロッコリー、ケール、カラードグリーン)は硫黄化合物を含み、肉やスープにまでしみ出てまずくなる。その他、セロリ、ニンジン、ジャガイモはシチューの具として使えるし、米国農務省が承認しているほとんどのビン詰めレシピにはセロリ、ニンジン、ジャガイモが入っている。時々食べるシチューやポットパイの具材としてこれらの野菜が入っているのはおいしいし、特に冷凍のグリーンピースやインゲン、コーンを味や食感を加えるために一緒に温めると、とてもおいしい。しかし、毎日の食事としてはどうだろうか。我が家向きではないし、おそらく他の家庭でも同じではないだろうか。私たちの現代の食事は、今夜はイタリアン、明日はタイ料理、そしてその次の日はメキシコ料理などなど、私たちの祖父母が喜んで食べていた食事よりもさまざまなものを食べるようになった。そのため、肉のビン詰めをシンプルな形で用意しておくことで、後であなた好みのいろいろな料理に使うことができる。
肉は骨付きでもなしでも、生でも(「生ビン詰め(raw pack canning)」と呼ばれる方法)、軽く火を通してから熱いスープやお湯でビン詰めにしてもよい(「加熱ビン詰め(hot pack canning)」と呼ばれる方法)。生の肉をビン詰めにしても、茹でてからビン詰めにしても味や食感にほとんど違いはない。生ビン詰めの利点は肉に火を通す手間が省けるのでその分時間が短縮できることだ。生でビン詰めされた肉は全体が隠れるほどではないが、肉自体から汁がでる。
肉を保存する時は、家族の好みを考慮して計画をたてるとよい。我が家はチキンサラダが大好きだから圧力ビン詰めチキンをよくやる。生チキンのビン詰めはサラダに最適だ。ビン詰めを作る過程で作られる肉汁を少しサラダにかけてしっとりさせたり、何か他の時のために取っておくこともできる。私の子どもは、工場で生産されたチキンビン詰めは「ツナの様な味がする」というが、私が作ったチキンビン詰めは「本物のチキンの味がする」と言う。
私は、自家製のビン詰めチキンを肉汁も全てスープやカレーに入れたりもする。圧力ビン詰めチキンはゆっくり低温でゆでたチキンよりも少しぱさぱさしているが、それくらいは妥協出来る。
じゃがいも、タマネギ、ニンジン、セロリと一緒に牛肉や鶏肉を加熱ビン詰めしておけば、温めるだけで食べられるインスタントシチューができあがる。または、ビン詰めの肉を開けてとろみ付けをしたり、クリームをかけたり、新鮮な野菜や冷凍の緑の野菜を飾り付けたりもできる。ビン詰め作りの過程でハーブやスパイスの味が強くなりすぎてしまう心配をするよりは、飾り付けの段階でハーブやスパイスを混ぜた方がよい。ひき肉や角切りの肉をトマトベースのソースで加熱ビン詰めすれば、とてもおいしいパスタソースになる。トマトベースのソースでは、(肉汁とは逆に)ハーブは嫌な味にはならない。ビン詰めのひき肉の食感はビン詰めしていないひき肉と同じ食感だろうか。答えは、ビン詰めの行程で肉の全ての脂肪分がでて肉を細かく分解するから食感は違ったものになる。しかし、自家製のチリビン詰めやパスタソースのレシピを使えば大した問題にはならない。
肉を安全にビン詰めするヒント
脂肪分の多い肉は避ける。豚肉も牛肉と同じようにビン詰めにできるが、牧草地で育った肉を買うと脂ぎったものになる。バーベキューで焼いたプルドポークは上手くいったが、密封する際に悪さをしなかったのは運がよかっただけで、二度と同じことはやらない。圧力を加えてビン詰めする際、ビンの中身は激しく沸騰し、ビンの中の液体は少なからず外に漏れる。そのため、ビン詰めされた肉が密封されず食料が保存できなくなったり、安全でなくなってしまうため、蓋に油分がつくような脂っこい肉は避けたほうがいい。
とろみ付けはしない方がいい。シチューやソースの圧力ビン詰めを作る際にとろみ付けはビンの中に熱が伝わるのを妨げることから米国農務省は小麦粉やコーンスターチなどのスターチ類などのとろみ付けを使うことに賛成していない。(米国農務省はお米や麺類の特徴から熱を伝えるのにむらが出るとし、お米や麺類を加えることも賛成していない。私はお米や麺類は煮過ぎてゴムの様になってしまうので賛成しない。)
肉と一緒に野菜でおいしいシチューや良い香りのするパイの中の具を作るには、フランス人が「ブールマニエ(beurre manie:練りバターの意)」と呼ぶちょっとしたコツを知っていると便利だ。バターと同量の中力粉を練り、冷蔵庫に保存しておくだけでよい。スープやシチューにとろみ付けをする際に自家製ビン詰めの蓋を開けて中身を鍋に入れ沸騰させる。沸騰したら、ブドウ大ほどのブールマニエをシチューが好みのかたさになるまで加える(いつもの様に小麦粉がダマになったりはしない)。
ビン詰めの新しい領域に挑戦する際は、インターネット上には誤った情報や誤った圧力ビン詰めレシピがたくさんあることを知っておく必要がある。間違ったレシピや指示、手法を使うとボツリヌス中毒症になることもある。しかし、料理する肉が屠畜場から調理台につくまで適切に扱われたことが分かっていて、圧力ビン詰めの製造業者やNational Center for Home Food Preservationが定める手順に従えば、失うものは何もない、むしろ多くを得られるのだ。
家で肉を上手に保存する6つのヒント
1. 常にきれいなキッチンでビン詰め作りをする。1/4カップの酢を1カップの水で薄めた液で台の上や使用する用具を全て拭いて消毒する。
2. 圧力ビン詰めゲージを地元の公共教育サービスで検査する。ビンの蓋は新しいものを使い、ビンは状態の良いものを使用する。例えばボール社の製品はとてもよい。
3. 肉がどこから来たものなのか、どのように扱われてきたのかを把握する。赤身の肉を選ぶようにし、目に見える脂肪は全て切り落とす。
4. 少量のビン詰めからはじめる。家族がどのような圧力ビン詰めの肉を好むのか、加熱ビン詰めが好みなのか、それとも生ビン詰めが好みなのかが分かってから1回分の量を増やす。
5. ビン詰めを作る間は台所を離れない。
適切な圧力を維持するための最適なやり方を見つけるには時間がかかることがある。圧力が高くなりすぎて液体が漏れてきちんとビンを密封できないこともある。あるいは、圧力が下がりすぎたら、安全のためもう一度やり直さなくてはいけない。
6. あなたがいる場所の標高を確認する。自家製のビン詰めを安全に作るために必要な圧力は標高が高くなればなるほど高くなる。信頼のおける圧力ビン詰めレシピは標高によって圧力を調整できるような情報が含まれている。
バーモントにあるアンドレア・チェスマンの4千平米ほどの自給農地では、作物がよく育つ時期、彼女の台所の温度が低くなることはまずない。チェスマンの著書に「自給農の裏庭キッチンのノウハウ (The Backyard Homestead Book of Kitchen Know-How )」や「基本に戻る伝統の台所の知恵 (Back to Basics: Traditional Kitchen Wisdom)」あり。
たのしい暮らしをつくる
マザーアースニューズ
Home Meat Preservation with a Pressure Canner
By Andrea Chesman
August/September 2016
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