有機栽培用ホウレンソウの新種 (Abundant Bloomsdale) が登場

アバンダント・ブルームスデールは、米国のオーガニック・シード・アライアンス (Organic Seed Alliance) との共同開発で生まれた。有機栽培で旺盛に繁殖するホウレンソウで、特に米国北西岸地域に適している。

 育種家や農家の間で、有機栽培に耐えるホウレンソウ「アバンダント・ブルームスデール」が人気だ。

このたび、オーガニック・シード・アライアンス (Organic Seed Alliance、以下 OSA) はホウレンソウの改良品種「アバンダント・ブルームスデール」を発表した。耐寒性に優れ、気温が上昇してもすぐにはトウが立たないのが特徴だ。

 いわゆる縮みホウレンソウの一種で、葉は水分豊富でみずみずしい。濃い緑色の葉には、ルテインやベータカロテンなどのカロテノイドが多く含まれている。ホウレンソウの中では比較的ゆっくり成長する方だが、上へと伸びる大きな葉には甘味がある。

 OSA の育種家が、ワシントン州西部のオリンピック半島の ファーム 8 か所の協力を得て、有機栽培に取り組むファームや家庭菜園家向けにこの良質品種を開発した。これを受け、他の地域の種子会社も試作を行ってきた。

 数年にわたる「アバンダント・ブルームスデール」開発に協力したのが、ワシントン州ミドリファーム (Midori Farm) のマルコ・コルビーさん (Marko Colby) とハナコ・メイヤーズさん (Hanako Meyers) を始めとする農家の方々だ。二人は、チャード、チコリ、ムラサキブロッコリースプラウトなど、様々な野菜の品種改良でも OSA に協力している。ファーム自らが種子改良に取り組む動きが昨今盛り上がりを見せているが、彼らもその一例だ。こうした地域ぐるみの取り組みにより、私たち市民の食卓に上がる野菜の遺伝子レベルでの多様性が守られるのだ。

 「アバンダント・ブルームスデール」は自然受粉品種なので、OSA では、栽培農家が収穫後の種を選別・保存し、それぞれの地域でさらに適応度を高めていくよう推奨している。気候変動が続く中、地域ごとに適応品種を育てていくことが何より重要だ。

 アバンダント・ブルームスデール・プロジェクトは2003年、OSA が育種分野の調査・啓蒙・権利擁護団体として発足したそのときに始まった。講習を行ったことから数十もの農業ワークショップや体験学習で取り上げられ、OSA 主催のプログラムへの要望は広がっていった。同プロジェクト期間中には、数百人の農業従事者がアバンダント・ブルームスデールの畑を実際に訪れ、栽培方法や有機栽培向け育種法について学んだ。

 この種子は、E&M Seeds、High Mowing Organic Seeds、Hudson Valley Seed Library、Southern Exposure Seed Exchange、Siskiyou Seeds で購入可能だ。アバンダント・ブルームスデールの売り上げの一部はOSAに寄付され、参加型育種プログラムの運営資金として使われる。

 

たのしい作り手のコミュニティー

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Try ‘Abundant Bloomsdale’ Spinach, a New Organic Seed Variety 

By Kristina Hubbard, OSA   

February/March 2016