オープンソースの種 

 野菜を育てている人で洞察力が優れている人は、今年の冬や春の種のカタログから、見慣れないジャンルに気づくかもしれない:「オープンソース」(無料公開&配布)の種のことだ。

 

 この新しいブランドは、「オープンソース」、「OSSI」または「オープンソース・イニシアティブ」としてラベル表記され、私たちに馴染みのある表記「在来作物」「有機認証済み」と並ぶもので、消費者にとって、選択肢を絞るのに役立つことになる。しかし、OSSIは、実際にはブランド化に反対しており、「自由な種」と表記している。このブランドのどの種も、品種をどんどん流通から外すような特許や他の規制が適用されないということを意味している。特許取得済みの種は、法的に、採種することも、再び植えることや、分け合うこともできない。だから、毎年、種を買い替えないといけない。

 最大の問題は、特許取得済みの遺伝子の種は、来年作物を育てるための種としては、使えないとうことだ。特にオーガニックな種の採種など有望な仕事をしている大学や小さな種苗会社の育種家たちは、種の多様性の縮小を直接感じている。原料(元の種)は、企業の支配の下に置かれている。拡大しているこの種の遺伝子の隔絶は、私たち共有の種の遺産のあるべき多様性に、育種家たちが手を伸ばせないようにしているのだ。今や、特に、オーガニックな作物栽培や、変化する気候により良く適応できる新しい種が必要だ。

 そこで、オープンソース・イニシアティブの登場だ。それは、育種家や農民や種苗会社のコラボレーションで2012年に作られ、オープンソースのソフトウェアのやり方を手本とした、遺伝資源(遺伝の元になる原料)の共用の場所だ。OSSIは、ほとんど全世界の種の資源を所有している一握りの巨大企業に並行して、別の選択肢を作った。

 「私たちは、人々が自由な種を買えるように、商業的なモデルを作っています」とOSSIの委員会のメンバーでもあり、ウィスコンシン大学マディソン校の社会学の名誉教授でもあるジャック・クロッペンバーグ(Jack Kloppenburg)は言っている。彼は、巨大企業の種の支配に対して30年間以上も闘い続けている。「モンサント社、セミニス(Seminis)社、シンシェンダ(Syngenta)社が、どんなことをしようとも、OSSIは、積極的に、彼らに並行して、自社精神に基づいてやっていきます。私たちは、世界で何が起こっているか心配していないことは言うまでもないが、問題は大きいと思っています。しかし、可能なかぎり、OSSIは、オルタナティブなシステムの一部になって、サポートしていきます。私たちは、そのような場になりたいのです」

 作家で、Oregon’s Fertile Valley Seedsのキャロル・デッペ(Carol Deppe)はOSSIの育苗家で、同じくこの闘いを続けている。「その古くて、ゆがめられた形で公にされた種への共通認識は、結局のところ、機能していません。だから、彼らは闘いに負けているのです」彼女は言う。「私たち、オープンソースの育苗家たちは、元になる種の遺伝資源を共有できるように改善していきたいのです。しかし、巨大企業は、原料となる種を外に出しません。」これを解決するには、OSSIには、新しい工夫がある。シンプルな担保の形式であり、育苗家から認められ、担保された種をその後に使った人にも認められる種の担保だ。育種家たちは、彼らが元々働いた結果による種を自由に共有することに賛同している。そして、その後担保された種を使う人も育種した結果の種を自由に共有することに賛同するという条件付きだ。OSSIの作るものは、単なる共有の場ではなく、保護された共有の場だ。

 他の著名なOSSIの種育家には、の近くHigh Mowing Organic Seeds社のトム・スターン (Tom Stearns) 、 (Wild Garden Seed) 社のフランク・モートン (Frank Morton) やウィスコンシン大学マディソン校のアーウィン・ゴールドマン(Irwin Goldman)がいる。OSSIに担保となる種を提供した最初の15社は、Adaptive Seeds、Backyard Beans and Grains、Bountiful Gardenns、Cultivariable、Family Farmers Seed Cooperative、Fedco Seeds、Fertile Valley Seeds、Fruition Seeds、High Mowing Organic Seeds、Lupine Knoll Farm、 Nichols Garden Nursery、Oikos Tree Crops、Restoration Seeds、Siskiyou Seeds、Wild Garden Seed。

 多様性がなくなっていくことは、地球全体の問題だ。クロッペンバーグは、OSSIは、インドの持続可能な農業センター(Centre for Sustainable Agriculture)と連携して、種の担保のやり取りを国際的にやっていくことも考えている。クロッペンバーグは、OSSIの種を買うことやその組織に貢献することによって、企業の支配から種を守ることを促進するためにも、菜園家を招待している。もっと学びたい方は、オープンソース・イニシァティブのウェブサイトに、すべての担保になる種のリストを載せたので、ご参照。  

 

ホンモノの自然派

マザーアースニューズ

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The Open Source Seed Initiative: Let’s Take Back Our Seeds

By Margaret Roach 

December 2015/January 2016