深刻な干ばつの予測

コロンビア大学、コーネル大学、そしてNASAゴダート研究所 (NASA Goddard Institute) の執筆者らによる新しい報告書によると、今世紀後半、アメリカの南西部と中央平原は数十年続く前例のない干ばつにみまわれると予測されている。科学者らが呼ぶところのこうした将来の「大干ばつ」は、北アメリカが過去1000年に経験したどんな乾燥期よりも過酷なものになるだろう。

 雑誌「サイエンス・アドバンシズ (Science Advances)」 2月号に研究結果を発表した研究執筆者らは、過去の干ばつ傾向のデータと最先端の気候モデルを組み合わせて予測を行った。「気候変動が緩和されなければ、南西部と中央平原の両方で、80%の確率で今世紀末までに35年間続く干ばつが起こると論じている。」と研究の共同執筆者、コーネル大学の地球および大気科学 (earth and atmospheric sciences) 教授のトビー・アルト (Toby Ault) は言う。

 干ばつが自然な地球の気候サイクルの一部である一方、研究は、人間が発生させる温室効果ガスの排出により生じる温度上昇が、降水量の減少と同時期に蒸発速度を加速させることで自然の乾期を悪化させることを示した。多くの科学者が局地的な気候変動の影響を一般化して特徴づけている。「雨の多い地域はますます雨が多くなり、乾燥した地域はますます乾燥するようになるだろう。」最近の研究がこの予測を裏付けている。。。乾燥した平原や南西部だけでなく、比較的雨の多いアメリカの東半分でも降水量の増加が予測されている。

 灌漑に利用される地下水は、多くの農業地域で持続不可能な速度で既に使い尽くされている。こうした地域での数十年にわたる干ばつは、中央平原の黄金色の穀物を生産する農場経営者、そして米国の小麦、コーン、大豆に依存する産業や輸出業者にとって壊滅を意味する。だが私たちはこの道をたどる必要はない。研究の執筆者ら曰く、私たちが二酸化炭素の排出を削減すれば、特に中央平原では気候変動を緩和し、干ばつのリスクを大幅に減らすことができる。報告書の全文はオンラインで読むことができる。


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Drought and Climate Change: New Report Predicts What’s Ahead

By Kale Roberts 

June/July 2015