ペンシルベニア州ペンズバレー。ペンシルベニア州中央部に位置するこのコミュニティは、ひとつの都市ではなく幹線道路沿いの渓谷に点在する小さな町の集まりだ。美しい尾根と渓谷の地形で、1800年代初期の開拓者によって入植されたが、当時の入植者の多くはこの地方に残り、
Millheim、Centre Hall、Spring Millsといったコミュニティを形成した。
「古い世代がこの地区の道徳観と伝統の雰囲気を作っています」とシンディ・エングル (Cyndy Engle)
は言う。彼女は12年間この地方に住んでおり、この町に魅せられた。底流にある尊敬と気遣いの気風に加え、地域史が素晴らしいと思っているからだ。だが、その気風のおかげで、食料品店で「ちょっと買い物」するのに1時間以上かかってしまうこともあるとシンディ・エンジェルは言う。「どの通路でも顔見知りに会うし、立ち止まってその人たちの家族の近況を聞くことになるわ。デリのカウンターではうちの家族の好みをわかっているし、ペンズバレーで起こっていることも教えてくれる。お勘定の時は私が誰かというだけでなく、どのように包装したいかさえわかっているの。」とエングルは言う。
「食料品店の棚は地元の生産者ごとに並んでいるわ。自分の食べるものが自分の足下の土から採れたなんて素敵よね。」
全国に知られているペンシルバニア持続的農業協会 (Pennsylvania Association for Sustainable Agriculture, PASA) の ブライアン・スナイダー (Brian Snyder) は、相互に学びあうこと、地元で作った持続可能な新鮮作物を探している消費者とのつながりを築くことを全州で農業家に働きかけている、と述べている。「ここの土壌は肥えていて、家庭菜園は急増しているが、その多くは家の前庭にある。そして多くのガーデナーは家庭菜園のかたわら、食用の家畜を飼っている。」とスナイダーは言う。
ペンシルべニア州のステートカレッジは合衆国大都市統計地域であるにもかかわらず、ペンズバレーを通るドライバーは、地域のアーミッシュたちの馬車と道路を並走することも多い。ペンズバレーには価値ある酪農場が多く、ペンシルべニアは生乳の生産で全国をリードしているとPASAのローレン・スミス (Lauren Smith) は言う。PASAは生乳が法的基準を満たすよう働きかけ、ペンシルベニア州農務省がその試みを後押ししている。今やペンシルベニア中の200近い農場が生乳販売のライセンスを獲得している。
新参者がコミュニティに根付く手っ取り早い方法は、ボランティアをすること、地域社会に貢献したいと行動で示すことだとエングルは言う。土地と水を守ることは市民の優先事項。なぜなら享受している素晴らしい地元の食材は、汚染物質に毒されていない、良い水と土地のおかげで出来ていると皆が分かっているからだ、と彼女は言う。
Penns Valley, Pa.: A Chain of Tradition
By K.C. Compton
October/November 2014
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