お手軽トンネル支柱|簡単なミニグリーンハウス

冷床よりもカンタン、軽量、廉価。お手軽フープ【トンネル支柱】で、気候に順応でき、寒い時期でも継続的に、新鮮な自家栽培の野菜を育てられる。

 

家庭菜園をする人たちは、いつの時代でも、夏を引き延ばそうとしてきた。冬用の菜園に、寒さや風から植物を守ることができるエリアがあると、植物の通常の栽培期間を過ぎても栽培を続けられることが多い。冷たい北風をさえぎる板塀や生け垣がある南側の土地でさえ、それ以外の場所に比べると、若干穏やかな気候となる。家庭菜園をする人たちはかつて、このような風よけがある温かい場所を巧みに利用して、できる限り長期間野菜を収穫していた。

 

より単純に、より軽く、より廉価に

  冬に野菜を収穫する充足感を一度体験したら、もっとレパートリーを増やしたいと思うだろう。だからといって、コールドフレーム【cold frame 植物を保護するために側面に板を張り、上面をガラスやビニールなどで囲んだもの】を庭に増設しようとすると、さらに多くの時間やお金がかかってしまう。そこで私たちは、コールド・フレームよりシンプルで軽く、安価な方法を思いついた。私たちはこれを「クイックフープ」と呼んでいる。長さ約305cmのパイプを半円状に曲げ、その両端を地面に突き刺し、その上から透明のビニールや不織布などの園芸用被覆シートをかぶせるだけという、シンプルな構造だ。このパイプで作ったクイックフープの高さは92cmで、見た目は小型の温室のようだ。

  クイックフープの支柱として利用できるパイプには2種類ある。1つはプラスチック製の電線用導管で、安価で軽く、手で簡単に曲げることができる。積雪が少ない地域ならこちらで十分だ。ところが、私たちがいるメイン州の積雪に耐えるためには、亜鉛メッキされた直径約13mmの金属製導管が必要だった。この導管は「EMT」という名前で売られており、大抵の金物屋で入手できる。EMTの長所は強度が高く、一度曲げると形が変わらない点だ。

EMTをアーチ型に成形する時は、クイックフープの支柱を曲げるための型に沿って曲げよう。まずはじめに、支柱を曲げるための型を頑丈なピクニックテーブルなど、大きく平らな面に固定する。パイプの片方の端を型に差し込み、型のアーチ状の面に沿わせてパイプを手前に引きながら曲げていく。型通りに曲がったら、さらにパイプを奥に差し込み、再びパイプを手前に引く。以上の動作を理想の形になるまで繰り返す。支柱を曲げるための型はリーズナブルな価格で販売されている。仲間同士で共同購入して、一年中誰でも家庭菜園で使えるようにしておいてもよいだろう。(支柱を曲げるための型(bending forms)は、ジョニーズ・セレクテッド・シーズ(Johnny's Selected Seeds)で販売されている。)

  長さ305cmEMTの場合、半円のアーチ型に曲げると、直径は182cmになる。私たちの菜園の場合、182mの幅に、幅76cmの畝2列と、畝と畝の間の30cmの通路が収まる。2列ある畝のそれぞれ外側に、鉄の棒で深さ25cmの穴を空け、そこにアーチ型に曲げた支柱の両端を突き刺す。これを152cm間隔で、畝に沿って設置する。わずか3本のアーチ型支柱で、305cmの奥行きをカバーできる。

  次に、305cm幅の不織布シートを支柱に掛ける。ポリエステル製の白い不織布は、水と光を通す。さらに、外気温より最大2.2℃程度高い温度を保つことができるため霜よけになり、害虫除けにもなる。不織布シートは、地面に充分に届く長さに加え、クイック・フープの縁から70cmを足した長さのところで切る。次に、クイック・フープの外周に沿って砂袋を置き、不織布の端を固定する。砂袋は、使用済みビニール袋に土を詰めたもので構わない。不織布シートは丁寧に扱う必要があるが、できる限りたるんだ部分がない状態で固定すること。たるんだ部分があると、そこに風が集中して、シートが吹き飛ばされやすくなってしまうからだ。

 

年中ガーデニング

  クイック・フープは、コールド・フレームと比べて、はるかに広い面積を覆うことができ、より背の高い作物を保護・栽培することができるため、冬の家庭菜園のバリエーションがさらに増えることは確かだ。たとえば、1つのクイック・フープで育苗し、もう1つのクイック・フープで早採り用のサラダ菜を栽培することができる。不織布には通気性があるので、内部の温度の上がりすぎを防ぐための自動開閉装置は不要だ【コールド・フレームではアーム式の自動開閉装置を取りつけることが多い】。不織布は日光や水も通す。植物に直接触れる必要がある場合は、砂袋をよけて、不織布シートを折り返す。

  厳寒期に防寒性を高めたいときは、不織布の上から透明のビニール・シートを掛けて2重にするとよい。ビニール・シートを上にかぶせることで、雪の重さで不織布が破れる心配をせずに、ホウレンソウ、レタス、タマネギなどを冬越しさせることができる。上に掛けるビニール・シートは、不織布と同様、クイック・フープの外周と端に砂袋を置いて固定することができる。私たちは風の強い地域に住んでいるため、砂袋で固定した上で、ビニール・シートとクイック・フープの支柱が接する部分を、プラスチックのクリップできっちりと止めている。クイック・フープ内部の温度が24℃まで上昇した時は、ビニール・シートの端をめくり上げるか、ビニール・シート全体をはがして下の不織布シートだけが残るようにして、換気する必要がある。


Try Quick Hoops — Easy-to-Make Mini-Greenhouses

By Barbara Damrosch and Eliot Coleman 

March 12, 2013


<関連記事>

移動式グリーンハウスでたくさん育てる

アースシェルターなグリーンハウスを創ったよ

ベストなグリーンハウスの選び方