除草剤のドリフト(漂流飛散)に対する被害申立が一時的使用禁止の契機に
専売の種子と農薬はセット Photo by Getty Images/fotokostic
文:リディア・ノイズ
翻訳:浅野 綾子
アメリカの数か所で、毒性のある農薬に逆風が吹いています。多くの農家が作物への被害を訴えて、ミズーリ州とアーカンソー州では農薬であるジカンバの使用が一時的に禁止されています。ジカンバは農業の現場で何十年も使用されていますが、厳密にいえばEPA(米国環境保護庁)の承認は下りておらず、すべての州で違法となるものです。
ジカンバの権利を所有する化学薬品企業は存在しませんが、主要な販売元はモンサント社です。ジカンバの利用を促進しようと、モンサント社は近年ジカンバ耐性の綿花や大豆の種子の販売を開始しました。この種子を使えば、作物にリスクを負わせることなく、より頻回に農薬の散布ができるのです。でも耐性のない他の植物に対する被害は抑えられません。近隣の農場でもジカンバ耐性の種子を購入しなければ、その農場の作物が駄目になってしまう可能性があるのです。農薬のドリフト(漂流飛散)は農業では一般的な問題で、通常は一度の散布でわずかな耕作地にしか影響が及びませんが、ジカンバだけで毎年809,400ヘクタールの耕作地に影響を及ぼすと推定されています。
現在、農家の苦情申立によりジカンバベースの農薬が禁止になっているのはミズーリ州とアーカンソー州です。この2つの州では、こうした農薬を販売または使用した農家に民事上の制裁金が課される可能性があります。禁止は一時的なものにすぎないと州議会は強調。でも、近隣の行為のせいで農家の作物に被害が出るのは不当だという点について、大多数の意見は一致しています。
たのしい暮らしをつくる
マザーアースニューズ
2 States Ban Dicamba Herbicide
February/March 2018
Lydia Noyes
コメントをお書きください