こんな実用的な手法から独創的な案を集めて、今度の春には家で苗を健康的 に芽生えさせよう。
室内であなた自身の苗づくりができたら、多額な費用を節約できるだけではなく、作物の品種を選べて全く新しい世界が広がる。家庭で育苗からはじめると、ほとんどの園芸センターで手に入る「家庭菜園用の品種」の植物に限定されない。アメリカ中の通販の種会社から試してみたいどんな種でも(例えば、病気に耐性のあるもの、有機的に育てられたもの、固定種、珍しい在来種など)注文して、自身で発芽させることができる。
育苗に使うことのできる設備は、育てることができる植物の多様さと同じぐらい多岐にわたっている。読者の皆さんにどんな育苗設備がうまくいっているか聞き、そのアイデアを総まとめした。自宅に設置するときには、電灯の利用が窓辺に植物を置くよりうまくいくことが多いと覚えておこう。そして、育苗向きの電灯があることも。標準的な蛍光T8電球がお勧め。2つで約3,000ルーメンになる。人間の目には明るいように見えるが、3,000ルーメンは、苗が屋外で受ける光のごく一部にすぎない。苗が10センチ以内の近いところにこの明るい光を浴びるように保つことで、丈夫で健康に育つ。
ここにあるアドバイスすべてが育苗の「最も効率の良い王道」に従っているわけではないが、経験豊かな菜園家が成功した実用的なアイデアも一緒にまとめてある。さらに詳しいガイダンスは「Best Tips for Starting Seeds Indoors」へ。
1. 多層式育苗カート キャスター付
去年、裏庭から帯鋸で切ったタモ材 (ash wood) を使って育苗ライト付スタンドを自作しました。スタンドは2層にして、ホーム・デポで購入した蛍光灯や電球を装備しています。電球は、約2750ルーメンを出すフィリップスALTO T8sで、植物にとっていつも一番いい状態が保てるように、4、5センチ以内に電球の高さを保つ固定具で微調整できますよ。このスタンドは、保管するときは簡単に分解できて、キャスターをつけているので移動もできます。育苗していないときは、室内でのレタス栽培にもぴったり!— Edward Hollmen
2. 育苗できる多目的本棚
私の苗づくりは収納ラックで、育苗と本棚の機能を兼ね備えています。育苗ライトは最初から各棚の上に備えつけてあった電灯を利用して。最初に種を蒔くとき、育苗トレイの下に本を何冊か積んで、ライトに十分近づくようにしておくと、苗の成長にあわせて積む本で高さも調整しやすいの。こんなラックを作るには、まず照明器具を購入して、照明の長さにあわせ、本棚が何段欲しいかにあわせて板材を組み合わせます。組み立て図はこちら。— Cheryl Long
3. ガレージセールで見つけた育苗装置
私の育苗器は、書斎の本棚の上に備え付けてあり、育苗に失敗はありません。いくつかのコップやコンポスト以外は、部品はガレージセールでの掘り出しもの。いくらかかったかって?驚くほど安い!
・プラスチックの靴箱 30円 × 4:120円
・2灯用蛍光灯照明機器:360円
・タイマー:30円
・延長コード:12円
・発砲材コップの梱包資材:240円
・アイスピックや錐:60円
・自家製堆肥:無料
・合計:822円
ガスバーナーに錐の先端をかざして、熱した先で発砲材コップの底を溶かし、水はけ用の穴を空けます。このコップは毎年再利用できます。頭上の棚から蛍光灯照明機器を吊るしています。— John Grass
4. 身の丈にあう育苗のコツ
私は、マスターガーデナー【Master Gardener: 地域のボランティア親方制度】であり、また高地デンバーの、オフグリッドで、予算の限られた菜園家でもあります。私はスノーモービルの後ろに培養土を積んで家まで運び、5cmのピートモスポットを数ダース、7.5cmのポットに数ダース、そして卵カートンとヨーグルトの大型容器にも同じように土で満たします。トマト、トウガラシ類、バジル、コリアンダーなどを育苗します。苗が大きめの容器を必要とする場合、ヨーグルトの容器は数週間後のポットの入れ替えに便利です。リサイクルと再利用は私の予算内でも簡単に手にはいるものです。完璧!
種蒔きした上に、湿った新聞紙で覆って、芽が出るまで薪ストーブのそばに置きます(プラスチック鉢が溶けないように十分離して)。発芽すると電灯付育苗テーブルへ移動しますが、電気をつけるのは夜に一時間ほどだけです。それ以外の時間は南西の窓辺においています。幼い苗が少しずつ大きくなって、気温が7度以上にあがってくると、日中はベランダにある冷床の中に移動します。発芽率は90%です。4月の終わりには、トンネルをして寒さからの保護に備えた揚床 (raised beds) に直植えします。
誰でも、部屋の暖かな片隅や、明るい窓辺、また1、2本の蛍光灯があればできます。良い種を買って、良い育苗用培養土をつかいましょう。土が乾きすぎないように、また反対に小さな苗を溺れさせてもいけません。最初に始めた鉢より背が高くなってきたらより大きな鉢に移植しましょう。できる限り太陽光のあたるところに置いて下さい。— Betsy Mehaffey
5. 圧縮ピートを使った育苗
私は、圧縮ピート (soil block) で育苗をしています、つまり小さな容器は全くいらないのです。エリオット・コールマン (Eliot Coleman) の「The New Organic Grower」の作り方に基づいて育苗土を作っています。また、育苗トレイの下に電熱マットを置いて発芽を促進し、毎日霧吹きで種に水をやっています。発芽すると、電熱マットは切ります。
芽が本葉まで成長すると6穴セルトレーに植え替えます(プラスチック容器を全く使わないのなら、ここでは大きめの圧縮ピートで代用できます)。苗が庭に移植できるほど丈夫になるまで南向きの窓辺に置きます。苗に寒耐性をつけるためには、最初は1日に1時間ほど屋外で比較的雨風がしのげる場所に出しておきます。そして、徐々に毎日外に出す時間を増やして慣れさせてゆきます。 — Dale T. Rodgers
和訳全文は今月末発行予定
Seed Starting: Easy Setups for Home Gardeners
Edited by Shelley Stonebrook
December 2015/January 2016
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