「Cool Tools」 ― 無類の道具好きのあなたへ 

 ケビン・ケリー (Kevin Kelly) 著「Cool Tools」はアイデアが詰まった道具箱そのもの。便利で実用的で、達人になれそうな道具を山のように取り揃えている。

 

 「道具に対する伝統的な概念をはるかに超える、優れた一冊だ」

ー 本書に寄せて (Cool Tools Lab)

 

 

 ケビン・ケリーがまとめた道具本の決定版(全470ページ)「Cool Tools ― “できる”をまるごと一冊(仮訳)」は、1970年代の不朽の名誌「Whole Earth Catalog」を彷彿とさせるが、同誌の編集にはケリー自身も関わっていた。「Whole Earth Catalog」を手にしたことがあれば、読み出したら止まらないのはご存じのはず。「Cool Tools」も同じだ。28×35 センチメートル四方のページの隅々まで、見たことも聞いたこともないもの、革新的な製品、発想がずらりと並んでいる。

 ケリーは cool tool を次のように表現している。「使う人の学習を深め、個人の可能性を広げ、重要な仕事をしてくれる、最も優れた、または最も安価な、あるいはそれができる唯一の存在である便利な品。」 かつて「Wired」の編集主幹を務めていたケリーにとって、この定義にあてはまる品目は手道具、地図、ソフトウェア、果ては雑誌まで多岐に渡る。「MOTHER EARTH NEWS (MEN) 誌」について、彼は次のように結んでいる。「私が購読するのは、雑誌の多くが消費をテーマとする中で、MEN誌は生産を扱っているからだ。」

 本書はもともと、自身の子どもたちへのプレゼントだった。「3人の子どもたちが将来独立する時は、道具箱を持たせてあげたいと思っていた。そこに本を入れようと思ったんだ。箱に収められていない、素晴らしい道具の数々を紹介する本をね」

 1,500点以上の品目が「自給生活」「話術」といったテーマごとに分かれている。これを1点1点、ユーザーとして知り尽くし、その道具が得意とする仕事についても熟知している専門家、最低でも一人の目で検証している。「Zip Kicker接着剤は入らないんじゃない?」とおっしゃるあなた。特殊効果エンジニア、アダム・サヴェージ (Adam Savage) の証言付きなのでご安心を。長辺映画の編集方法を知りたい。圧力鍋を新調したい。Tagelharpa を自作したい。本書はどれも見事に叶えてくれる。ご購入はMOTHER EARTH NEWS ストアでどうぞ。

 

‘Cool Tools’: A Book for Serious Tool Lovers

By Alec Weaver    

December 2015/January 2016