「パッシブソーラー」 住宅と 「パッシブハウス」 標準で建てられた住宅との違いは?どちらが良いのでしょう?
「パッシブソーラー」 とは、太陽熱を戦略的に取り込んで住宅を温める1970年代に流行した設計手法です。パッシブソーラーのローテクな手法は、定められた規格で縛られるものではありませんが、設計原理は一貫していて、南向きの窓(南半球の場合は北向きの窓)からの太陽熱を最大限に生かすこと。太陽が家を温めると、その熱は断熱材と熱容量の大きなもの(コンクリートや石やタイルなど)の使用によって蓄熱され、ゆっくりと放出されます。
パッシブソーラーの家が普及して約 20 年後、ドイツの物理学者ヴォルフガング・ファイストがパッシブハウス研究所(PHI)を設立しました。そこで確立されたのが、初期のパッシブソーラーのデザインの影響を残しつつも、高気密や高効率の窓や空気の再循環をより重視した総合的な省エネ建築基準 「パッシブハウス(Passivhaus)」。2010年までには、新たに設立されたパッシブハウス研究所 U.S.(PHIUS) が、非常に効果的かつ明確で高い基準を打ち出し、アメリカ市場で地位を確立。PHIとPHIUSは現在、パッシブハウスの基準をさらに進歩させるため、合衆国内で別々に活動しています。
基準が目指すのは、従来型の新しい住宅のエネルギーを 60~70% 削減し、空間暖房については 90% 削減した、耐久性に富んだ住み心地のよい家。基準に忠実な住宅だけが、パッシブハウスに認定されます。エネルギー消費量が劇的に減るおかげで、従来の冷暖房装置はいらなくなり、その分の費用で、家を徹底的に効率よくすることができるし、パッシブハウス認定住宅のぐっと少ないエネルギー消費量なら、より小さなエネルギー装置でも十分なため、再生可能なエネルギー設備にも手が届きやすいのです。
しかしながら、パッシブハウスの厳密な基準のおかげで、パッシブソーラーの設計が完全に時代遅れになったわけではありません。パッシブハウスの基準に沿って建てられた多くの家が、住まいを非常に効率的にするための数ある戦略のひとつとして、パッシブソーラーの設計に頼っています。しかし、パッシブハウス認定は、細部に渡ってパッシブソーラーを越えており、究極的には優れた性能を提供しています。現代の建築技術と製品のおかげで、パッシブハウスの建物は、とくに理想的な太陽光線を欠いた構造物において、パッシブソーラーの家よりも革新的な設計が出来ます。それでもなお、ソーラーパネルのようなソーラー技術を視野に入れる前に、パッシブソーラー技術を取り入れた方が良いです。
詳しい情報は、PHIのウェブサイトwww.Passiv.de/en、もしくはPHIUSのウェブサイトwww.PassiveHouse.usをご参照。
Passive Solar Homes vs. Passive House Standards: What’s the Difference?
3/20/2014 10:49:00 AM
By Paul Scheckel
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