食肉用鶏を育て始めるなら、ただバタバタせず、このガイドを使おう。孵すところから収穫まで、ほんの6週間で冷凍庫を若鶏でいっぱいに。
食肉用鶏は、他のどの家畜よりも短い時間と少ない労力で育て、食卓に上らせることができる。 ひよこは数週間で目標の体重に達し、店で売られているどんな鶏肉よりもおいしくて質の良い鶏肉を自分の食料貯蔵室にストックできる。 また、食肉用鶏を自分で育てれば、工業化された非人道的な食糧生産システムに関わらなくてすむ。 交配種か在来種か、ケージ飼いか放し飼いか、慣行飼料を与えるか有機飼料を与えるかなど、さまざまな選択肢があるが、どちらを選ぶかはすべて自分次第。
ベストな食肉用鶏の品種
食肉用鶏 (broiler: 柔らかな皮と肉を備えた若鶏のこと) を飼育するにあたり、選択肢がいくつかある。 最初に選ばなければならないのは、交配種と在来種のどちらを飼育するかだ。 交配種と在来種の根本的に違う点は、生育期間と肉の味。 鶏が目標体重の6ポンド (2.7kg) に達する期間が短いほど、飼育全体にかかる費用は安くなり、肉はあっさりとした味になる。 この期間が長くなればなるほど、飼育費用がかかる (在来種ではたいていそうだ) が、肉はよりヘルシーで味わい深くなる。
白色交配種: 食肉用鶏の中で最も生育効率がよいのは、白色コーニッシュ種と白色プリマスロック種を人工的にかけあわせた交配種だ。 スーパーで最もよく売られているのがこの交配種で、短期間で成長して羽が生えるのが特徴。 同じ齢で同じ性別のひよこは同じペースで育ち、与えた飼料は効率よく肉に変わり、わずか6~7週間で目標体重に達する。 白色交配種の生体重のうち約75%が可食部 (余分な脂肪、羽、頭部、足、血を除いた部分) にあたる。
胸部の大きな白色交配種は、きちんと管理した場合、体重を1ポンド (0.45kg) 増やすのに、2ポンド (0.9kg) の飼料を消費する。 白色交配種は、放し飼いでない場合、目標体重に達したらすぐに食肉処理する必要がある。 成長が速すぎるため、目標体重を超えると、骨の病気にかかったり、心不全で死んでしまったりするからだ。
白色コーニッシュ種はむしる羽の量が少ない上、他の食肉用鶏では焼き取る体毛のような羽を持たないため、簡単に速く皮をきれいにすることができる。 私は、白色コーニッシュ種を皮ごと炙るのが好きだ。 他の品種を育てて処理する時は、羽をむしるより皮をはいだ方が早いので、皮ははぐことにしている。 ただし、あくまでもこれは好みの問題で、どんな品種でも羽をむしることは可能だ。
有色交配種: 有色交配種は元々、フランスの有名なラベル・ルージュ 【Label Rouge(赤ラベル): フランス農業省と経済省が認定する優良品質を保証する印のこと】 向けの放し飼い有機鶏のために開発された品種で、米国の一部の養鶏業者でも採用された。 有色交配種の商標には、「ブラック・ブロイラー(Black Broiler)」、「カラー・イールド(Color Yield)」、「カラード・レンジ(Colored Range)」、「フリーダム・レンジャー(Freedom Ranger)」、「コーシャー・キング(Kosher King)」、「レッドブロ(Redbro)」、「レッド・ブロイラー(Red Broiler)」、「レッド・ミート・メーカー(Red Meat Maker)」、「ロザンブロ(Rosambro)」、「シルバー・クロス(Silver Cross)」などがある。 有色交配種のほとんどは赤い羽だが、黒、灰色、横縞の羽を持つ血統もあり、いずれも白以外の羽が生えている点で共通している。 有色の羽は白色の羽と比べて、タカなどの捕食動物から見えにくい。 ただし、有色交配種の羽 を取った後の地肌がしっかり見えるように、きれいにむしるのは難しい。 (有色交配種について詳しくは、「Freedom Rangerに関する間違い(Wrong About Freedom Rangers)」の記事を参照。)
有色交配種は通常牧草地で飼育され、白色交配種よりもゆっくりと成長する。 目標体重に達するまで少なくとも11週間かかり、ひよこたちは必ずしも同じペースで育つとは限らない。 有色交配種は、白色種より成長期間が長く、餌を探し回っている間にカロリーを消費するため、体重を1ポンド(0.45kg)増やすのに、約3ポンド(1.35kg)の餌を必要とする。 有色交配種の肉は、速く成長する白色交配種よりも風味が豊かだという人もいる。 有色交配種の可食部(肉の部分)は生体重の約70%。
在来種: 在来種の鶏を卵用に飼育している場合は、自分が飼っている群れから卵を取って孵化させた後、雌鶏は卵用に、余分な雄鶏を肉用に育てることができる。 「デラウェア(Delaware)」、「ニュー・ハンプシャー(New Hampshire)」、「プリマス・ロック(Plymouth Rock)」、「ワイアンドット(Wyandotte)」 は、在来種の中でも特に、卵用と肉用の両方に役立つ可能性が高い。
これらの品種はみな餌を探し回るのがうまい。 穏やかなペースから遅いペースで成長し、目標体重に達するまでおよそ16週間かかる。 在来種はコーニッシュ種と比べて胸は薄く、肉の色は濃い。 コーニッシュ種よりも活発に動き回りながら餌を探し、より長い期間飼育した後に屠殺するため、低脂肪で引き締まった肉となり、豊かな鶏肉の風味が楽しめる。
非交配種の鶏たちは同じペースで成長せず、交配種の鶏ほど効率よく飼料を肉に変えることはない。 在来種の鶏は、体重を1ポンド(0.45kg)増やすのに4ポンド(1.8kg)以上の餌を消費し、可食部は生体重のわずか約65%にすぎない。 交配種と在来種の食肉用鶏を育てる際の長所と短所の概要は、「食肉用鶏の比較(Comparing Broiler Chickens)」 の表で確認できる。
育雛小屋
ひよこを育てる際には、交配種の体の大きさと成長のペースを考慮しなければならない。 鶏はほぼ絶え間なく餌を食べ、餌箱から遠く離れることはめったにない。 また、鶏は餌を飲み込むために水をたくさん飲む。 育雛小屋には鶏の体質量に応じてゆったりとしたスペースを確保し、充分な数の餌箱と給水器を設置する必要がある。
体が大きい交配種は、同じ齢の他の食肉用鶏よりも体を温かく保つ。 私が飼っている白色交配種は、生後わずか2週間で暑そうにハーハー息をしだしたので、暖房付きの育雛小屋から納屋のもっと広いエリアに移した。 白色交配種は、他の多くの食肉用鶏よりも暑さに弱い傾向がある。 温かい気候の場所では、ケージ内、牧草地のどちらで飼う場合にも、春か秋の涼しい期間に育てたほうがよい。 有色交配種と在来種の鶏は、白色交配種よりはましだが、前述したどの品種も、暑さに大変強いというわけではない。。。
By Gail Damerow
December 2013/January 2014
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