カリフォルニア州アーケータ。市の環境サービス課(Environmental Services Department)のダイレクターとして、マーク・アンドレ(Mark Andre)は市の驚くべきエコロジカルな取り組みのいくつかに、最前線で陣取っている。アーケータ湾に始まる印象的な配列で、アーケータ湿地・野生動物保護区を取り囲み、太平洋岸にあるこの小さな都市の南西の境界線を形づくっている。都市の西方にかけて肥沃な農地が広がり、象徴的なレッドウッドの広大な森が市をぐるりと取り囲んでいる。
「ここには素晴らしいコミュニティの精神があります。その力強い環境倫理が、生活を大いに形作っているのです」とアンドレは説明する。「このコミュニティは多様で、実に様々な年齢、文化的背景がミックスされています。そして健康的で環境保護に理解のあるコミュニティを作るということに対して、しっかりとした当事者意識を持っています。」
州立ハンボルト大学の本拠地であるアーケータには、大学街に必要な全ての文化的設備が整っている。この大学は全米でも屈指の環境科学・エンジニアリングのプログラムを誇っている。
アーケータには全国で初のコミュニティ共有林がある。森林管理協議会によって認められた2,300エーカーの森は、持続可能な森林の実証を担っている。そこでの製材は雇用と市の収入を生み出しているのだと、アンドレは言う。アーケータは廃水をコミュニティの資源に変えることに成功した。つまり、その汚水処理システムが真水と海水が入り混じる湿地帯、草地、干潟といった別天地をつくり出し、そこは素晴らしく多くの種の植物と野生動物のすみかになっている。人と自転車のための遊歩道、解説センター、野生動物保護区は毎年15万人を越える人々を引き寄せている。
アーケータの「コミュニティの精神」はしばしば社会的、政治的な行動主義の文脈で語られる ― 怒れる住民たちが市民としての役割を真剣に果たしているというわけだ。海面上昇に対する関心は、市の包括的なコミュニティ温室ガス削減計画(Community Greenhouse Gas Reduction Plan)につながった。アーケータは住民投票で近郊をも含めた遺伝子組み換え作物の栽培を禁じた全国で初の自治体になった。「動く彫刻レース(the Kinetic Sculpture Race)」と「オイスター祭り(Oyster Festival)」のような市を挙げてのお祭りは、コミュニティへの参加の良いきっかけになっている。アーケータは素晴らしい産直市場とフードワークス料理センター(Foodworks Culinary Center)も誇りにしており、食関連のビジネスの培養器となっている。
湾岸エリアよりは低いが、不動産の価格はカリフォルニア北部の常で依然として高額だ。だが、住民は何とかして解決策を見つけている。彼らはアーケータと恋におち、離れずにいるのだ。「人々がここに居るのは、居たいからなんですよ。」アンドレは言う。「彼らは自分たちのための居場所をつくり出しているのです。ここに留まるためにね。」
カリフォルニア州アーケータ
人口: 17,248人
気候: 平均年間降水量1067㎜、1月平均最高気温12℃、7月平均最高気温16℃
世帯収入の中間値: 31,815ドル
住宅価格の中間値: 259,000ドル
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