入賞した6家族は、他の人へ賢い暮らしのワザを共有するよう家を公開して、自給自足とコミュニティー教育を広めている。

 

By Jennifer Kongs

マザーアースニューズの2013年の農的暮らし【ぢきゅう人】大賞は、手で触る経験を通じて、他の人が新たな自給自足のワザを試す機会を与えることで、実践して学ぶ気風を具現化している。農的暮らしをする6家族がある。コミュニティー形成を主な活動として ―　労働の成果や、労働をやり遂げるのに必要な知識を共有するために門戸を開いている。

地域支援型農業（CSA）プログラムの作業分担と、農場でのワークショップを通じて、農的暮らしの実例を提供することにより、隣人を感化している。

  年に1度の農的暮らしの第2回目の呼びかけに、前年の約2倍の応募があった（Our 2012 Homesteaders of the Year: Living the Good Life Through Modern Homesteading【2012農的暮らし大賞：農的暮らしで楽しく暮らす】、2012年8月/9月）。決勝進出者を選ぶために、役畜【牽引する動物】と耕す記事、光を吸収している太陽電池パネルの写真、それから候補者それぞれの特徴リスト、すべて熱心にページをめくった。（詳しくは、農的暮らしのスターたちの素晴らしいノミネートで。）それでは、2013年の勝者の物語を誇りをもって発表しよう！

 

プラス影響があるユースホステル

  一般的に旅行は、環境資源の大きな消耗だ。しかし、メイン州ディア島で、Anneli Carter-Sundqvist とDennis Carterが管理する農家ホステルは、環境への影響が少ないだけではなく、敷地とホステルの客へプラス影響があるように努めている。

  Anneli とDennisは、必要とする現金収入を減らすために、出費を最小限に抑えることを選んだ。余った自家製のニンニクと椎茸を売ることにより、ホステルの収入を補う。1年中農家に住んでいて、夏の間、お客さんのためにDeer Isle Hostelを開いている。Anneliは、昨シーズン、ホステルにおよそ300人が滞在したと見積る。

  Deer Isle Hostel は、高いレベルの自給自足を実践している。Anneli と Dennisは、機器いくつかの電源やお客の携帯電話の充電を、オフグリットで小規模な太陽光発電システムに頼っている。二人は食物を育て、冷蔵庫やフリーザーを使わず冷床や根菜類貯蔵庫、家庭用ビン詰めと発酵を使って貯蔵している。養鶏し、ブタを飼い、食肉にして、ヤギのチーズとの交換に使っている。（ウェブサイトにあるAnneliのブログ投稿で彼女らの冒険をフォローしよう。）

  ホステルで日々一緒に食べる食事や、彼らが食べる食べ物のほとんどを、Anneli と Dennis が育てる。「お客さんは庭に来て、収穫を手伝い、一緒に夕食を作ります。」と、Anneliは言う。客は、他の人とシェアするドミトリーと、個室もしくは2人用の閑静な小屋のいずれかを選べる。

  Anneli と Dennisは機器と労働をご近所さんと共有している。そして、観光シーズンには、ワークショップを提供している。今年、2人は講義とフォーラムをラインアップに加える。「切り離され、孤立した農家では話にならない」と、Anneliは言う。「最大の喜びは、我々が共有できるという事実です。」

 

世代を超えて進化する

  Amy Saunders は、ネブラスカの丘で耕し、乳牛を育てた一代、二代、三代と離れた親族まで遡る事が出来る農家の家系だ。彼女の夫 Dan は、15年の間、肉牛を育てているカンザス牧場主と働いていた。

  二人はその経歴と経験を生かし、さらに彼ら自身の哲学を融合させて、カンザス州ローレンス近郊に、草を与えて育てる乳牛と肉牛のCSA（地域支援型）プログラムを設立した。

  Amy’s Meats は、Downtown Lawrence ファーマーズマーケットでの販売から始まったもので、自然飼育で草を食べさせた肉を売っていた。10年早送りした今日：AmyとDanそして3人の子供たちは今、酪農と自家製野菜を含む労働参加が必須のCSAプログラムを運営している。「私たちは、CSAメンバーに年間10時間のボランティアを頼みます。」とAmyは言う。「余分に働くということではなく、人とつながること、子供を連れて来させること、そして、世代間で、知識と家族の重要性と物語りを伝える従来のやり方を再定着させることが目的です。」

  彼らの家には、薪ストーブで暖める盛り土【壁を保護し断熱効果を高めるもの】をした温室、再利用された材料から作った搾乳納屋と、これもまた廃材で建てられたいくつかの鶏小屋がある。

  伝統工芸と技能は、Saunders家の不可欠な部分だ。 ― 何も無駄にならないし、技能は尊ばれる。一家は、ほうきとリースのためにホウキモロコシを育て、動物の皮をなめし、そしてお手製のロケット・ストーブでよく食事を料理する。Saunders家は、農場ツアーとワークショップの主催を通して、実行して学ぶことの重要性を強調する。子供のための農家キャンプからfarm-to-fork dinners【畑での食事会】にいたるイベントまで、カレンダーは詰まっている。コードウッドの家【細い間伐材を短く切って積み上げて作る家のこと】を建てることや、太陽電池パネルを強化することは、予定に入っている。

  「良い点ですか？私の子供が生と死を理解していると分かることですね。」とDanは言う。「彼らは、農的暮らしが完全な循環だと理解して、経験しているんです。」

 

手作りのCSAプログラム

 

  17年前、まだコンピュータープログラマーとして本職をしている間、Phil Freedman は夕方と週末に、メリーランド州フレデリック近くの森に自分の家を自分の手で建設し始めた。彼の妻、Ileneと2人の息子のために十分なスペースを得るため、最初の800平方フィート【22.5坪】の家は、その後拡大した。25エーカー【30,610坪】の土地は、現在House in the Woods Farm（www.HouseInTheWoods.com）で、3エーカー【3,673坪】のオーガニック野菜の農場、納屋、物置と30×100フィート【9 x 30m】のフープハウス【日本のビニールハウスの様な温室】を含む。

IleneとPhilは、持続可能な地元の食材に対する情熱があり、1999年に小さな野菜CSAプログラムを始めた。

  プログラムは現在、食物をおよそ60の家族に提供し、そしてFreedman家は、また、地元の自然食協同組合(共同市場)に、生産物を卸している。

  産卵雌鶏、デクスター肉牛、ミツバチとアルペン酪農ヤギ　―　自家製のchèvre【ヤギのチーズ】で家族を支える ― が農場をうろうろしている。忙しい夏の間、彼らのCSAプログラムの引きかえに働くボランティアのほかにメリーランド大学からのインターン数人が動物たちに加わる。「私たちは、食べるため、子供たちやお客、私たちのコミュニティに食物がどこから来るかについて教えるために、育てているんです。」とIleneは言う。

  Freedman一家は、ビン詰めの日、その他のワークショップ、Farmhand Days（ジャガイモ堀りなどの大きな作業を終わらせる為に人が集まって来る日）を開くことで磨かれた技術を伝えている。さらなるコミュニティ構築の努力として、ＣＳＡ株式2つを農場から入手するために共同市場は寄付を集めている。株式に合わせて、Freedman家が余った作物を提供し、地元のフードバンクに与えられる。

  自称「機能的工芸作家」Ileneは、編物をして、縫物をして、次から次へと他のDIY案件を楽しくやっている。彼女が作らないものは、地域で物々交換している。Freedman家には、太陽電池パネル設置を含む先行きの見える案件がいくつかある。（ http://goo.gl/WpnsL にあるIleneのブログで進捗をフォローしよう。）

  Ileneは言う。「すべてのものがどこから来るかを知り、すべて自分たちが引き起こしたと分かることで、私は満たされる。」

 

徹底したシンプルさを教える

  ネバダ州のリノと聞くと、おそらく明るい光とギャンブルを思い出すだろう - しかし、市街地内に、Kyle と Katy Chandler-Isacksenの運営する化石燃料や電気のない「Be The Change【自分が変える】」という農場もある。夫妻はアメリカ全土のコミュニティで教えたり、探索したりして数年を過ごした。リノのRiver School Farmで期間労働をしているときにパーマカルチャーについて学び、オレゴンのHouse Alive!で自然建築法を学んだ。ミズーリ州のPossibility Allianceで体験したコミュニティ教育と組合わさった環境負荷の少ないライフスタイルに触発され、KyleとKatyは都市版を全て自分たちでやるためにリノに帰ってきた。

  夫妻は、クラウドファンディングのサイトと個別の寄付によって家と半エーカーの土地を購入するのに十分な資金を調達した。その家は、浅い池の中にある動物の死骸や水分で痛んだ壁など、たくさんの補修が必要であった。しかし、彼らは修繕を終え、2011年の11月に引越しをした。（支援を受けてKyleとKatyが達成したことの詳細は、元のファンドのサイトを参照。 http://goo.gl/6aEdw）

  その土地で2年の間に、KyleとKatyと2人の息子達は生活排水浄化システム、パーマカルチャーガーデン、再生材料で建てられた30ドルのビニールハウス、ソーラー乾燥機を作った。この家族は、労働の時間と引き換えにテクニックを教える無料のワークショップを開催することで多くの建設プロジェクトを完了させた。

  Chandler-Isacksens家では、土のオーブン（Cob Stove）で調理をしたり、粘土で出来たつぼを使った「冷蔵庫」や、移動に自転車を使ったり、ろうそくの火で夜を過ごしたりしている。一家は、食料のほとんどを自給し、野放しの果樹から果物を収穫し、食料品店から廃棄食品を貰って、他の人と共有している。

  KyleとKatyは毎週近くにある公立のモンテッソーリ学校から中学生を集めて自立的な生活について教えている。本当のペイフォワード方式で、同じ中学生達が小学生達のためにツアーを企画している。もしあなたがBe The Changeに立ち寄れば、歓迎されるだろう　―　あなただけでなく他の人も立ち寄っているかも。「フィールドトリップやツアー、ワークショップや友達をつれて訪問してくれたりと、約500人ぐらいの人たちが1年間にここを訪問し、私たちが始めたことを体感するんですよ。」とKyleは言う。（もし、リノまで来ることができなければ、Kyleのブログhttp://goo.gl/hSPrU をチェック。）「もっと多くの人が来て一緒にやってくれるのを期待していますし、来たら大歓迎しますよ。私たちは自立したいのではなく、互いにつながっていたいのです。」

 

名高い店先

  メイン州の最初の有機酪農場は1994年に認定されたNezinscot Farmで、GloriaとGregg Varney夫妻が所有し運営している。メイン州のターナーの外側にあり、120頭の乳牛が7人の家族の分の牛乳やチーズだけではなく、Organic Valley酪農組合に卸すのに十分な牛乳を生産してくれている。

  GloriaとGreggはGreggの両親から農場を購入し、完全にオーガニックな方法に転換した。彼らは乳牛だけではなく、ヤギや羊、豚やウサギといった家畜も一緒に飼いながら忙しく暮らしている。0.8haの菜園、大きな果樹園とミツバチの巣もいくつかある。

Gloriaは公衆衛生と栄養について学んだが、農場から離れて働いた後、家に人々を招待して、より強い印象を与えようと決め、Varney’s　ストアー、カフェ、ベーカリーが生まれた。「農場に来たときに健康について経験してもらうためよ。農場を見て、どのように食べ物が育っているか学ぶことができるの。」とGloriaは言う。

 

  家族は（2人のパートスタッフと）このお店とカフェを一年中オープンしている。カフェは種から育てた健康的な食事を提供し、ほとんどの素材は農場内で栽培されている。店では新鮮な食材、チーズ、豚肉、そして靴下やセーターなどの衣類等付加価値の付いた商品を販売している。（詳細は、www.NezinscotFarm.com 参照。）

  改装されたポスト＆ビーム【丸太の軸組み】構造の納屋は、チーズ作りから手芸までの広い範囲のスキルを学ぶことができるワークショップの教室として使用される。クラスは月に2回、ピザ作りパーティーと公開即興演奏会と共に、隔週の土曜日に開催される。Gloriaが、ビート音楽に乗せて編み物をやる気のある生徒たちに教えているところを見られるだろう。

  将来を見据えて、Greggは地元で作られた有機の家畜飼料を作るために穀物製粉所を作ろうとしており、Gloriaは蜂蜜製品作りや反GMO法運動に取り組んでいる。今年、Nezinscot Farmはファーマーズマーケットとコミュニティーガーデンを始める。Gloriaは言う。「25の小さな農場から始まったこの町には、今3軒の農家しかいないのよ。他の人たちが入って来られるようにドアを開けてあげることはとても重要なの。」

 

健康ハーブの自給

  2002年には、Dawn、Carson Combsはオハイオ州のコロンバスにある1.4haの芝生に覆われた土地に移住した。Dawnの父はその家の最終契約書に自分の娘と義理の息子がサインするのを耕運機と共に外で待っていた。「自分達のものを何も移動しない内に、畑を耕し始めたのです」とDawnは言った。

  9年間、開墾し、漉き込んで、掘って、建物を建てて、 Mockingbird Meadows （www.MockingbirdMeadows.com）はUnited Plant Savers Botanical Sanctuaryとなり、1つの池と3つの納屋、いくつものガーデンやビニルハウスがある場所となった。DawnとCarsonは今2人の子供、AidanとJacyがいて、彼らも全ての農場の活動に参加している。数匹の家畜や鶏達が閉じられたループの農場にある蜂達が飛んでいるところをうろうろしている。

植物学の学位と、有名なハーブ研究家であるRosemary Gladstarの見習いであった経験を生かし、Dawnはハーブの薬と持続可能な養蜂を結びつけ、調理用と薬用の両方の効果をもつハーブ入り蜂蜜と蜂蜜スプレッドを作っている。

  「健康になるための薬も含めて自給的な暮らしを人々に教えたいのです」とDawnは言う。彼女は薬草のCSAプログラムを2010年からはじめ、毎月ハーブやハーブ入り蜂蜜、教育的ニュースレターとレシピを配達している。Combs家は小さな養蜂家が養蜂園を運営し、従来的な形から資金的なリスクの少ない持続可能な方法にスイッチできるように協同組合を始めた。

  Combs家は、農場夕食会、持続可能な養蜂、ハーブの薬、調理法についてのワークショップを行い農場を週に何日か開放している。Dawnは定期的にハーブや養蜂を行うグループに対して説明会を行っている。「毎年400人ぐらいの人たちと会います。技術を教えたり、農場以外での関わりで、気軽に400人以上の人たちとつながっています。」とDawnは見積もる。 

  DawnとCarsonは、一番大きな試練は自給的な暮らしをするために働くのと、自分たちが作り出したスペースを楽しむ時間のバランスの取り方だという。執筆中の2冊の本と、近々始まる蜂蜜のラベル付け、急速に拡大する養蜂家協同組合が、これから彼らが直面する試練だ。でも、Dawnは「ただバラの花を摘むだけではなく、座ってそれを楽しむことが大切なのです」と言う。