ベストなグリーンハウスの選び方

Photo By Shane Smith
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自分流にカスタマイズしたグリーンハウスを、ゼロから作らずに、手に入れられるって知ってました?グリーンハウスキットを使えばいいんだよ!市販のグリーンハウスキットの詳細を見てみよう。

  

How to Choose the Best Greenhouse Kit
By Shane Smith

April/May 2013

庭仕事が好きな人ならグリーンハウスも欲しいところだろう。庭の植物が休眠している時季に温室で土いじりをするのは楽しいものだ。たとえ小さいハウスでも春の芽生えを前倒しにして、シーズンを延長してくれる。うまく管理できれば、年間を通じて食物を提供してくれる裏庭のオアシスだ。建てる技能がないので無理だと思っているなら、キットをおすすめする。良いものなら予算内でニーズを満たしてくれる。ゼロから建てるよりも簡単で建設経験もそう必要ではない(キットであっても自分で建てるんだというDIY精神は必要であるが)。

グリーンハウスキットの購入

 地域の規制。まずは地域で必要な許可、用途区分、セットバック、地下の電線や配管、その他の必要事項を調べること。地域によっては特定の基礎が必要になる。家とグリーンハウスをつなげるとしたら別棟にするより要件が厳しくなる可能性がある。グリーンハウスに貯蔵庫の規制を適用する場所もある。小さいものなら多くの規制をクリアできることがあるので、サイズを良く考える必要がある。

 場所。適度な日当たりが必要だ。晴れた日に連続6時間以上日光が当たる場所が望ましい。日当たりを良くするために、木を抜くか、剪定が必要になるかもしれない。水の使用も考えよう。冬でも使える蛇口があるかどうか。冬に水を確保するために温室に雨どいと貯水樽を設置する園芸家もいる。電気があれば暖房や照明、換気も可能なので、電源のことも考えておこう。

 販売店。会社をよくチェックしよう。小さなハウスでも大きな投資には違いないので、安心して買い物をできる店を選ぶのが大事だ。臆せず下のような質問をしてみよう。

いつから商売をしているのか。

キットの販売数実績はどれくらいか。

製造しているのか、販売だけしているのかどちらか。

保証期間はどれくらいか。

技術的な質問に答えてくれるか。

キットのパッケージと配送方法について。

配送料はいくらか。

 他にも聞きたいことを聞こう。建設経験がほとんどない場合、購入前にマニュアルを読んで理解できるか確認することが必要だ。週末に建設するつもりなら、土日の質問に答えてもらえるか聞いてみよう。購入を決める前に建設方法の写真やビデオを見るのもよいだろう。お店がグリーンハウスに特化しておらず、販売しているだけなら技術サポートは期待できないかもしれない。

フレーム

 ほとんどのキットのフレームは木製かアルミだ。木製のものは見た目がよいので好まれるが、建設はやや難しくなる。

 木の反りやねじれがあるし、木製のキットは部品数が多くなるのが普通なのだ。アルミは型式と質に強度が左右される。実質的に半永久的に持つし通常はメンテナンス不要だ。一般的には建設も楽なのだが、アルミフレームは熱さ寒さを伝導するので木よりエネルギー効率がやや落ちることになる。フープ(輪状)フレームも考えられるオプションの一つだ。

 硬いプラスティックで覆われたパイプを輪状に曲げてすそ板に留めてフレームにしたものだ。簡単に組み立てられる構造でお金もかからないし気候も選ばないが、他のフレームほど丈夫ではない。

グレージング・タイプ

「グレージング」は温室のガラスか樹脂の覆いのことを指す用語だ。選択肢が多いので自分のグリーンハウスにはどんなグレージングがよいかじっくり検討するといい。

 ポリカーボネイトはもっとも一般的で1枚の板かハニカム状の多層パネルが販売されている。多層タイプは2重壁の物が良く使われるが、3重で5層のタイプもあり、厚さは416㎜になる。層の数が多ければ値段も高くなるが、多層タイプは省エネ効果がある。また、夏の日中の日差しを和らげてくれるので、夏涼しく、冬暖かいグリーンハウスに出来る。多層タイプは日光を通しづらいので冬に曇りが多い地域の園芸家には合わないかもしれない。

 ポリカーボネイトは外側に紫外線防止加工がされている。片側だけの加工なので組み立ての際、加工面が外を向いているか確認してほしい。

 大抵は10年保証がついてくる。古くなってしまうまでは石や雹(ひょう)にも耐える丈夫な素材だ。日焼けで劣化するのでいつかは交換しなければならない。

 他のグレージングより軽量なのでフレーム が頑丈でなくても建てられる。他の樹脂と違って、耐火性があるし、扱いもカットするのも楽だが、温度によって伸び縮みする。小さいグリーンハウスは伸縮を調整するためのバーの据え付けが必要になる。

 ポリエチレンはシート状、不織布、ハニカム状のものがある。不織布はシート状のものより丈夫だ。どのタイプも保証期間は様々だが5年が上限だ。保証期間が長ければ費用も高い。ポリカーボネイトより安価だが、シート状(フィルム状も不織布も)は多層タイプと違い絶縁効果がない。

 ハニカムタイプのポリエチレンは、「Solexx」として売られている二層の製品でポリカーボネイトに見た目は似ているが、比較すると安価で光を通しにくい。10年保証がついてくる。ポリカーボネイトより大変柔らかく、端に硬さがないので密封しづらく、対候性に劣ることになる。

 ガラスは落石や大きな雹の問題がなければ一番寿命が長いグレージングだ。カットするのも大変だし重いので扱いづらい。重さゆえに丈夫な構造のフレームが必要になる。一重のタイプもあるし、二重、三重になれば絶縁性があがる。

頭より高い場所には強度の高い強化ガラスや合わせガラスを使うのが基本だ。ガラスの長所は可燃性がなく、傷つきにくく、気候の変動で伸縮しづらいところだ。

 窓ガラスは普通「low-e」(低放射性)として省エネのために表面処理されて販売されている。low-eガラスの下では植物の生長は遅くなるので、処理されていないガラスのキットの方が好ましいかもしれない。クリアなガラスは暗い影をつくり、植物の生長に必要な光の拡散が望めない。樹脂の方が光を拡散するのだが、もしグリーンハウスからの眺めを楽しみたいならガラスは素晴らしい素材だ。

 ファイバーグラスは光をよく拡散し、光合成を促してくれる。多くのメーカーから様々な品質のものが製造されていて波状のものと平面のものがあるが、どちらも一重タイプの厚みしかない。そのためファイバーグラスは安価な絶縁ポリエチレンを内側に重ねて使うことが多い。メーカーによっては退色して黄ばむのが早い。寿命は320年と幅がある。

材木場で売っているものには注意した方がよい。紙の保証書がついてなければ信用しないことだ。ファイバーグラスは比較的強い素材だが、フープ屋根のような大きなカーブに沿って曲げることが出来る。カットするのも作業も簡単だが繊維でかゆくなることがあるので手袋を必ずするべきだ。。。