動物は堆肥作りの主役
多くの家畜は、家庭ゴミを管理する一連の流れで重要な役割を担っている。ニワトリは台所の生ゴミが入った混ぜこぜのバケツに大喜びで、中身がほとんどなくなるまで、つついたり踏みつけて粉々にしたりする。ニワトリを飼う人たちは、オレゴン州ポートランド市のSalt of the Earth Urban Farmの人々のように、ニワトリ囲いと堆肥作りの場を兼用にすることで、堆肥を作る方法を見つけ出した:「メインとなる堆肥用容器はニワトリ囲いの中にある。そこでめんどりがおやつを食べたり、地面を引っかいたり、ゴミの山をひっくり返したりしてから、その混ぜ物の中に鶏糞を加えるのさ」。他には、ニューヨーク州ファーンデイルのHelen
Canoのように、鶏舎小屋の中で直接、めんどりに残飯を与える人たちもいる。「めんどりは、自分たちが食べないものを鶏舎小屋の床の上でワラに混ぜるの。これが小屋の外に持ち出される頃までに、よく混ぜられて、ほぼ完全な堆肥になるわ。そこから、その堆肥は庭にまくか、いずれ使うことになる積み肥の中に投入するのよ」と彼女は語る。
鶏舎小屋の掃除が少なくて済む別のアイデアもある。それは、堆肥作りの場所を、ニワトリたちが日中、活動する囲いつきの場所として維持することだ。「堆肥用の材料をただ積み重ねて適度に水を加え、2週間おきにニワトリを堆肥作りの場所に入れ、その山を崩させるんだ。あっという間に、見事な堆肥が手に入るよ」とカリフォルニア州スプリングスバレーのKevin Kiddは語る。
Mike Warrenは、鶏舎小屋の庭で台所の生ゴミをエサとして与えるより、管理のいい積み肥にニワトリを来させる方がうまくいくことが分かった。厄介者の害獣や害虫が寄ってくるからだ。「ニワトリは、それでもなおそこに入ってきて、ナメクジや虫を探しながら積み肥をひっくり返しているよ」
ニワトリ仲間の手を借りた堆肥作りについて調べていたところ、こんなぞっとする掲示板のスレッドにたどり着いた。ニワトリはミミズや他の生き物を食べることで、寄生虫をしょいこんでしまうというのだ。そこでわたしは兄に電話をかけた。「獣医を34年やっているが、その臨床経験の中で、家で飼われている鳥の群れが寄生虫にやられたという連絡を受けたことは一度もないよ」とアラバマ州モバイルの獣医学者(DVM:Doctor of Veterinary Medicine)のAndrew Dukeは語る。「それは、家飼いの鳥の群れは、商用の養鶏よりもはるかに清潔だからだろうね」
ニワトリが堆肥作りにふさわしいように、脱糞する他の動物たち、つまりウサギやヤギ、馬でさえも堆肥作りの大切な担い手だ。バージニア州で有機農場を営むDennis Doveは、放牧馬を飼って、堆肥をさらに良質なものにしている。農場にある野菜中心の堆肥に馬糞の層を入れることで、その肥料は単一の材料を土壌改良に用いたときより、はるかにすぐれたものになる。
同じ地域に住む読者のLiz Wallaceは、肥料のほとんどを、飼っているニワトリとヤギから作るという計画を実行している。「複数の積み肥と大型の容器が一つあるの。大型容器にはニワトリが食べない残飯や落ち葉を入れて、ある積み肥にはヤギとニワトリの糞やワラを入れ、また別の積み肥には、それ以外のものをすべて入れるの(落ち葉以外の庭のゴミや木屑など)。こうする理由は、ヤギやニワトリの糞は分解して、あっというまに使えるからなの。だから時間をかけて堆肥になるものとは混ぜたくないの」と彼女は語る。「食卓の残飯は湿り気が多いから、通気性よく分解させるためには、乾燥したものを混ぜる必要があるわ。それから、3つ目の積み肥はゆっくりと分解するので、だいたい1年間は放っておくのよ」
自宅で行う理想的な堆肥装置といえば、ふた付きのコンポスター、どの場所に新しい花壇を作っても移動できる半永久的な容器、落ち葉や季節ごとに出る他の廃材を置くための仮設の囲いなどがあり、場合によっては、これらすべてに加えて、ミミズ容器もいるかもしれない。堆肥装置に施すそれぞれの工夫は、家庭でのゴミ処理に必要な条件をより良く満たしていて、土壌にも有益なものでなければならない。徐々に、自分自身や自分の家庭、庭に合った完璧な方法で堆肥を作るコツが分かるだろう。
コンポスターの拡充
ふた付きのコンポスターの使用は、台所の生ゴミから堆肥を作る際、最も簡単な方法のうちの一つだが、みなさんは自分の要望や予算に合った様式を選べばよい。もしも屋内に置いておける小さなものが必要なら、ぜひともミミズ容器を検討するといい。3色の中から選べる複数トレイのWorm Factoryは約8千円で、自家製のミミズ容器に比べて簡単に維持できる。屋外用については、地元の堆肥教育プログラムを通じて、basic Earth Machineを3千円で購入することができた。質のいいコロ付きのゴミ箱の費用と同じくらいだ。ふた付きコンポスターの主な目的は、台所の生ゴミを封じ込めておくことだが、それは大きくなくてよい。5年間、わたしは300リットルのコンポスターを完全に満タンにしたことは一度もなく、冬場に台所の生ゴミを集めるために使うゴミ箱は、たった110リットルしかないのに、すばらしい働きをしてくれるのだ。
多くのコンポスターは、見た目のいい場所には置かないものだが、それは簡単に変えることができる。ある友人が、ゴミ箱製のコンポスターに竹製のロールスクリーンを巻きつけたところ、見た目がとても良かったので、彼女はその容器を中庭に移した。ビニールの防水シートに見飽きた別の友人は、リサイクルショップで手に入れた錦織のカーテン生地を使って、屋外用の容器を見事に変装させた。かつてペンシルベニア州を訪れたとき、手編みの柳細工でできた美しい容器を見た。自分のコンポスターの見た目が気に入らなかったら、変えてしまおう!
堆肥作りのちょっとしたコツ
・今は枯れている(またはその必要がある)植物の材料なら何でも堆肥にできる。肉や油物の食材を加えるのは、分解に時間がかかるのでお勧めしない。
・落ち葉や、古い植物、果物、野菜の切れ端、乾燥したマルチ、雑草などで、積み肥の量を増やします。それは、湿度を良好に保つために、少なくとも50cm四方の正方形に収まるくらいの大きさが必要だからだ。
・野菜のゴミはもともと湿っているので、台所の生ゴミを多く含む積み肥には、かさばるものを挟み込んだり混ぜたりして、薄くならないようにする。
・積み肥の切り替えしをして、材料を混ぜたりバラバラにしたりするのは、分解を速めるためである。切り替えしの時期に入ったら、自分の好きなタイミングで、多くしたり少なくしたりすればよい。
・新しい台所の生ゴミは、植物素材を10cm積めば、少し切り替えしをするか、まったくしなくても、よく堆肥化が進む。
・積み肥はしっとりさせるが、水浸しはだめ。
・時々、積み肥にショベルで2~3杯の土を加える。
Barbara Pleasantは、オーガニック・ガーデニングの優れた専門家であり、Complete Compost
Gardening Guideの著者だ。本書は11月30日まで、MOTHER EARTH NEWSストアにて25%引きで購入できる。
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